いじめと戦おう!〜対策と克服法〜
>>いじめっ子の体験談1
1.幼稚園〜小6 男子


【幼稚園にて】
 私の場合は、幼稚園くらいからいじめを始めていました。具体的には記憶はないのですが、母がいじめられた女子の家に謝罪に行ったと聞いたことはありますので、問題にはなっていたことでしょう。

 その相手の女子は、髪がテンパーで頬が赤い、いわゆるあまり風采のあがらぬタイプの子だったと記憶はあります。ただ、その時のいじめ心理はあまり記憶していないです。ただの弱い者いじめみたいなものだったよ うに思えます。



【小学校時代】
 但し、小学校にあがった時、一番記憶しているのは、初めて教室に入った時の危機感でした。すでに本能的に、知らない者ばかりの新しい環境に身を置いた状況下で私は、「ヤバイ、仲間をつくらねば」と焦っていたことを明確に記憶しています。つまり、あんな幼少期に、徒党を組んで勝ち組に回るという本能的な切迫感を抱いていたんですね。

 具体的にどう行動して「徒党」を形成していったかは覚えていませんが、私が仲間を募ってグループを作って行ったことは確かでしょう。

 小学校低学年というより1年生の内には、私はグループを率いていました。そして、クラスの比較的ボッーとしている連中をいじめ始めていましたね。

 標的には転校生などもいました。頭が良くてスポーツも出来て女の子にもモテるような転校生がいましたが、餌食になっていました。
 弱い立場の相手を標的にしていたことは確かで、孤立していてもローンウルフ(一匹狼)のような気骨のある者には手は出しませんでした。

 ある日など、子供がいじめられていることを相談に来校した母親と妹さんが教室へきて「○○くんって誰?」と聞いてきて、私を見つけると「お兄ちゃんをいじめないで!」と追っかけ回されたこともありました。
 当然に、翌日には本人に仕返ししましたが、そこまで深刻化していたわけです。ただ、その当人である彼とは、ある日、電話で長く話して、将来やりたい仕事なんてことを語り合った記憶もあるんです。確か古本屋を経営したいとか彼は言っていた記憶があります。卒業時期だったような気もします。


 仲間割れもしました。グループの一員だった者をハブにして、「絶交」状態にしたりしたこともありました。確か、親指と人差し指で丸をつくったものを、もう一方の手の指で破る仕草をして「縁切り」(円切り)が合図でした。そういう生殺与奪の権を握っていたのが私でした。私がハブられるようなクーデタはなく、あくまで私が中心になっていました。


 これは、1年生の最初の日に感じた切迫感(グループを組織して牛耳り、孤立だけは避けようとした強い思い)が成就した結果だと思います。なぜ私が、幼少期にすでにそのような切迫感をもっていたかは不明です。幼稚園でもいじめっ子だったわけですから、いじめられたトラウマもなかったはずです。

 だから、私は学校外ではそれほどの威勢はありませんでした。私立小学校だったので近所の少年たちには知り合いはなく、近所の子らがボール遊びなどしていると、母親に頼んで「この子も混ぜて」と仲介してもらったりしていました。またボーイスカウト少年隊なんてところにも入っていましたが、軍隊風の上下関係世界では大人しくしていましたよ。位が上になって威張れる立場になった頃も、あまり派手には仕切りませんでした。むしろ日曜日に活動に参加することが面倒になり、辞める画策をしていましたね。

 だから、私の威勢は、学校限定のものでした。



【中学では、いじめはしなくなった】
 ただ、それも小学校どまりで、系列の中学に上がった頃には、急激に「普通」になりました。この時の大変身がどのように行なわれたかは全く記憶にないです。付属小学校からなので、私がいじめっ子として君臨していたことを知っている者も数多くいたはずですが、外部の者も沢山流入してきて、環境が激変したので、そんな中で自然に「普通化」して行ったのでしょう。

 クラシック好きでオーディオマニアの普通の少年になっていきました。男子校だったので、女子目当てに小学校のクラス会なんてものを頻繁に開きましたが、系列の女子中学校へ進学した女子らの多くが、いわゆるズべ公になっていました。

 他のあまり良い中学へ行かなかった男子らは、いわゆる暴走族みたいになっていましたが、そんな世間的には近寄りがたい風体の連中が、クラス会の度に、「お前は怖かったからなぁ。当時はホントに恐怖だったよ〜」と口を揃えて言うのが、奇妙な感じでした。

 中学以降は私は普通でした。いじめには無関係に青春していました。男子校だったので、喧嘩はあっても、あまりいじめみたいものはなかったような気がします。



【当時を振り返って】
 小学校時代のいじめと中高のいじめとは少し違うような気もするのですが、孤立を避ける強迫観念の強さが、孤立とは無縁で真逆な状態である、グループ化や弱者のターゲット化などに走らせていくのではないのかな、と感じます。

 それらの強迫性の恐怖心がなく、のんびり平和に学校生活しているようなスキがあり油断している子らが、標的になってしまう。いじめている側は、少なくともいじめられる側ではないわけで、安心を勝ち取れるんですからね。

 またそれを無抵抗の安全な相手を利用して行なうわけですから、少しでも反撃してくるような相手には手出しはしないんでしょうね。私はそうでした。まぁ、中高ではリンチみたいなことをする事例もあり、反撃が必ずしも有効とは限らないとは思います。

 また、学校の先生の叱責もあまり効果はなかったと記憶しています。先生は大人で、そちら側の世界に救済を求めても、子供世界では通用しないみたいな暗黙裡のルールがあり、裏切り者・チクリ魔みたいなレッテル貼りをしていじめが強まるような気がします 。私はそうでした。



【いじめを辞めさせるには】
 では、どういう状況でしたら当時の私がいじめをやめたか、と言うと、弱者をいじめるという行為が卑怯な行為で、恥ずかしい人のやることだと、もしも授業で先生が毎日、生徒らへ刷り込んでいったら、多分、自分がいじめをすることで周囲から蔑視されてしまうという心理が働いて、かなり活動は鈍ったと想定されます。

 周囲から軽蔑されることは孤立のリスクですから、その辺のリスクには敏感に反応したのではないかと思います。なぜなら、そもそもが人一倍孤立したくないという思いが強いからこそのいじめっ子なんですからね。いじめビデオなんて当時あれば、効果的だったでしょう。いじめられっ子の哀しさがストーリー化され、いじめっ子は卑劣な存在として 描かれていて、自分がその悪者とダブってしまうとなれば、かなりダメージだったと思います。

 さねゆきさんがよくギャラリーの存在をおっしゃりますが、そのギャラリーがいじめを黙認・容認している雰囲気であればいじめは増長しますよね。でも、なんとなくいじめを軽蔑している目線があれば、いじめ行為は自滅行為みたいになるわけです。ただ、ギャラリー自身はそのような目線を注ぐ勇気自体がないでしょう。そこで、暗黙裡に、いじめ側がそのような軽蔑の目線が注がれているハズだと推定できる状況をつくっておけば良いと思います。それは、いじめドラマの共有とか、いじめっ子の心理分析ビデオの視聴でも良いと思います。単純に強い立場を希望しているだけの行為だから、実は、恐怖心の強さがいじめっ子にはあります、とか、このような陰湿な性格の人は幼少期に問題があります、とかそんな講義でもあれば、いじめっ子は、いじめ行為自体によって自分がバカにされ、陰口をたたかれ、「もしかしたらクラス中から軽蔑されてしまい、ある日、孤立してしまうかもしれない」と恐れるでしょう。最も痛いウイークポイントですから、効き目は絶大ではないかな、と思います。

 まぁ、当時の私の心理を思い出して、一番、当時の自分が嫌がるであろう状況が、いじめ防止であるならば、それがこれだと思います。残念ながら、そのような授業もなく、ビデオ視聴なんてもの自体がなかった時代でしたから。またいじめもそこまで社会問題になっていなかったし、対策も確立されてはいなかった時代ですから仕方ないでしょう。

 暴力的ないじめをする人の心理は、弱者をいたぶることで優越しようとする心理作用で、人間として最下等な精神レベルの持ち主で、このような人は将来的に、どんな社会の中でも卑劣で卑怯な立場を演じていくことでしょう・・・・また人をハブって楽しむような陰湿な人の性格傾向は、人の気を引いておいて、常に自分に他者の意識が向いていないと不安になるタイプの人で、自分が孤立するくらいならば他者を孤立させ自分のみの安全を図るような、自己中心な性格です・・・・とか、クラス全体に吹き込んでおけば、いじめっ子は、ギャラリーがどんな目線であっても、「みんな内心は自分を軽蔑しているだろう」と勘繰り、目線だけで自滅していくと思います

 以上が、いじめっ子から見たいじめ防止策です。勿論、そのような試みがすでにされており、無効に終わっているのかも知れません。少なくとも私にはそんな策が効果を出していたかと今にして思います。




いくつか質問をさせていただきました。ありがとうございました。

Q1.ご両親は、どういう性格の方でしたか。

 我が家の父母は、ごく普通の人ですね。社交的というわけでもなく、教育熱心というわけでもなく、噂話好きという気配もないし。
 生育歴というものから、あの時の気持ちを解こうとは私もしたんですよ。でも、思い当たる要因がないんですよね。だから【本能】と表現したんです。


Q2.ご兄弟はいらっしゃいますか。

 兄弟は兄がひとりおります。2歳上です。国立の小学校にいて、その後も私なんぞより遥かに優秀でした。いじめに関しては、しても、されてもいなかったと思います。


Q3.今は福祉の仕事やボランティア活動をされていますが、どういうきっかけで、人助けに興味を持たれたんでしょうか。

 ボランティアは、スピリチュアリティの影響ですね。それらの関連本は山のように読み漁りました。魂は使命をもって生まれてきて、個々の使命はそれぞれですが、共通キーワードは「愛」であり、利他であり、慈悲であります。頭脳は自己保身、自己中心の思考回路で人を支配・コントロールしますが、魂は二律背反に、「愛」を求めます。その相克が人生のあらゆる場面に展開し、後者により判断・行動をした場合のみ、宇宙の法則との調和がみられる・・・長くなるのでやめます(汗)



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