いじめと戦おう!〜対策と克服法〜
 9.保育園〜中3女子・・・クラスでのいじめ(現在、33歳)

 ご本人からのメール

〔いつごろから?〕
保育園くらい

〔いじめグループは何人?〕
15人くらい

〔いじめグループはどんな人たち?〕
クラスの男子全員、ときどき女子数人

〔まわりの人たちのようす〕
笑って見ていた

〔いじめのくわしい内容〕
 自分自身のことを思い出そうとすると、今でも感情が噴出しそうになるので、うまく書けませんが、事例を見ながら、いくつか思い出したものもあります(実際は、こんな程度のもんじゃありませんでしたが)。ほぼ十年間、毎日でした。
・私が近寄るとワッと逃げる
・○○菌がつく、と言われる
・私が使ったものを触りたがらない
・靴に画鋲を入れられる
・黒板消し・ぞうきん、そのほかのもので頭を叩かれる
・殴る、ける、はやしたてられる
・犬の糞をつかまされる
・給食にハエを入れられる
・つばを吐きかけられる
・持ち物に悪口を書かれる、悪口が書かれた紙をかばんに入れられる
・下校班の人たちのかばんを一人で持たされる
・動くなとか、命令される
・何かあると「お前のせいで…」と言われる

 当時は、社会全体が、まだいじめられている人に対して冷酷でした(今もそうかも)。「努力すれば何とかなる」と思わされていました。でも、うまくいかなくて、小学校高学年くらいから、何度も自殺したくなりました。

 本当に、自分が悪いと思っていました。今でも、頭では「自分が悪くない」と思えても、感情のレベルでは思えません。人に話すなんて、甘ったれているみたいに思えてしまいます。

 先生は、ほとんど何も知りませんでした。もしくは、私が悪いと思っていました。親にも先生にも、言うのをあきらめていました。特に父親には期待していませんでした。親には、いじめのことは二十歳過ぎてから言いました。母は、「そんなにひどかったの。少しは分かっていたけれど、どうしていいのか、分からなかった」と言い、父は憮然として、「なんだ、そんなこと。俺だっていじめられたことくらいある」という反応をしていました。


〔克服法〕
 私は絵を描いたり、本を読んだりするのが好きで、それが支えになっていたのかもしれません。それから、何人か女の子の友だちはいました。家では「変だけど明るい子」というキャラにしていました。母親には甘えていました。

 そういった外部の要因もありますが、それよりも、その当時の「心の持ちよう」のほうが大きかったので、自殺などをしなかったのかな、と思います。

 少々、身もふたもない言い方をすれば、私が自殺しなかったのは、「自殺するほどの勇気がなかったから」。不登校にならなかったのは、「不登校をするほどの根性がなかったから」。グレなかったのは、「不良仲間と話しを合わせられるほど器用ではなかったから」。家出しなかったのは、「行くあてがないから」、「あとで両親(特に父親)を納得させるのが億劫だったから」です。

 実際、自殺も含め、これらの行動に出るには、それなりのエネルギーがいるかと思います。当時は「登校拒否」自体が珍しかったですね。うつ病という病気もマイナーでしたし。辛いことは根性で乗り越えるという時代でした。そもそも、転校させてもらうとか、先生を替えてもらうとか、そんなことは絶対ありえないと思っていました。

 一度、中学生の上級生がいじめで家出したことがありました。その時、朝礼で先生が深刻な顔をして朝礼台に上がっていたことを思い出します。それを見て、私は「私だって本当は苦しいんだけど。でも、もし自分が居なくなっても、悲しむ人なんかいないだろうな」と思いました。私という人間は、一般の社会に溶け込むことを許されていない、何か異質な人間だと思っていました。一種の特別意識かもしれませんが、「自分が大事な人間である」という感覚がどうしても持てなかったのです。

 ただ、心理学では「人生に無駄なものはない」と考えますので、その考えに沿っていうならば、私の「根性のなさ」が私自身を守っていたと言えなくないです。

 そして、大人になった今の解釈ですが、私は「何か大きな存在に守られていたから自殺しなかった」と考えることもできます。


〔その後〕
 その後、私は社会人になる少し前にうつ病になりました。5年くらいかけて、何とか克服しました。自律神経失調症にもなりましたが、これも克服しつつあります。一見したところ、今は明るくて社交的に見えますし、バリバリ働いています。でもまだ、カウンセリングには通っています。大人になってからも対人関係でいろいろ調子が狂ってしまい(特に男性との関係)、人生がおかしくなってきたので。

 自分が「いじめ」に遭っていたことを認めることすら怖かったのですが、何とかカウンセラーさんにはいいました。カウンセラーさんは「いじめられる人っていうのは、『自分がここで犠牲になれば、クラスが丸くおさまるんじゃないか』と思って、自分からすすんで身を捧げていくことがあるんだ。たぶん、君もクラスの雰囲気を分かっていて、わざと自分が犠牲になったんじゃないかな」と言ってくれました。私が笑われ役をしていたのは、私がおろかだったからなのではないんだな、と少し気が楽になりました。カウンセリングに通えてよかったです。

 ニュースなどで「いじめ」という言葉を聞くと、今でも身が固くなります。「自分はいじめに遭った、と人に言ったら『何を大げさな』とか思われてしまうんじゃないか」とか。被害者ぶっていると思われるのは嫌です。

 「いじめられたから復讐で悪いことをやった」というニュースを聞くと、「世間一般の人は『いじめられた人』=『悪いことをする』という目で見ないだろうか」と不安になります。私は絶対に、復讐のために悪いことをしたいとは思いません。

 今は、心理学に興味を持つようになり、カウンセラー養成コースで学んでいます。心理学のサイトでこのHPを紹介している方がいて、知りました。

 今、彼らに対して思っていることは、複雑です。無邪気なはずの子どもが、あんな悪魔のようなことができるなんて、思いたくないし…。でも、そうすると私の過去は嘘になってしまうし。悔しいです。でも、できることなら、許したいです。苦しい気持ちは分かる。でも、復讐なんかやめておきなさい、余計に傷つくから…といじめられた人には言いたいです。私もいろんな人に支えられて、ここまで来られました。


 今、このHPを読んで思ったのは、母のことです。母は熟年離婚して私と一緒に暮らしています。でも、実は母は精神疾患を持っています。母は、「みんなが私に嫌がらせをしている」という被害妄想に陥ってしまっています。一時期は、私自身が母に罵られたりして、大変でしたが、今は多少落ち着いています。HPを読みながら、「これって、今母が抱えている孤独感に通じるんじゃないかな」と思いました。もし、このHPの文章を別に暮らしている兄に見せたら、母の置かれている状況を理解してくれるかもしれません。

 私はこれから心理カウンセラーを目指しているわけではないのですが、心理学を今の仕事に活かしながら、何か啓発活動のようなことをやっていきたいと思っています。いじめられた人・いじめた人に対する、何か心の癒しのような活動ができたら、と思います。これが私の役目かもしれません。

 これからもぜひご活躍ください。また、意見交換とか、できたらと思います。


このページのトップへ
1/1 > 克服体験談集(女)
克服体験談集(男)   いじめと戦おう!トップ  サイトマップ