いじめと戦おう!〜対策と克服法〜
37.小5〜中1女子・・・クラスでのいじめ他(現在、42歳)

 ご本人からのメール

〔いつごろから?〕
 小5〜中1

〔いじめグループは何人?〕
 小学生のころ…10人(女子)
 中学生のころ… 5人(男子)

〔いじめグループはどんな人たち?〕
 目立つタイプの子

〔まわりの人たちのようす〕
 無関心

〔いじめのくわしい内容〕
 30年以上昔からいじめはありました。昔はいじめられるほうが悪いという常識だったので親でさえ助けてくれませんでした。


 小6の時、家庭が荒れていたのが背景にあったと思います。きっかけは洋服です。父が家にお金を入れなくなったため、洋服が買えませんでした。母が子供の頃の時代遅れの服で登校していました。丁度おしゃれに敏感になる年頃だったので、同じグループの子にダサイから、と
嫌がられました。

 からかわれても無理に一緒に居たため、気付いた時にはクラス全体から「いじめてもいい存在」と認定されていました。給食へのいたずら、嘘を言いふらす、暴言悪口など。無視はいじめが終った時から始まりましたから、きれいに終ったわけではありません。


 中学に上がりましたが、同級生が全員同じ中学に進んだので、新しい友人もあまりできませんでした。誰かと話してると「そいつは嫌われ者だから話すな」と男子が割り込んできました。結局パシリのような存在になり、1年我慢しました。

 中2になりクラス替えがあり、そこで変化がありました。同じ趣味の人が多いクラスで親友もできました。卒業までの2年間、ここで気持ちを癒す事が出来たのだと思います。

 いじめるほうに原因があると実感する最大の理由はこの2年間です。私自身は容姿も趣味も含め全く変わっていないのに、いじめは起きなかった。いじめはいじめっ子がいるから起きるんです。


 何の不安もなく高校に進学し2週間後、ある事件が起きました。同じクラスから進学した友達Sさんが急によそよそしくなったんです。以前の私だったら、顔色を伺ったり媚びたり、逆に距離を置いたりしたかも知れません。

 でも「今までと同じ事をしたら、また同じ事が起きる」と思い、思い切って友達に理由を聞きました。そうしたら、他の中学から来たHさんという人が私に関して嘘を吹き込んでいたのです。Hさんはたまたま席が近く、私とSさん、Hさんともう一人、という感じで4人で過ごす事が多かったので一応グループの子、という事になります。折角受験で勝ち取った高校生活をめちゃくちゃにされてたまるか!と猛烈に怒りがこみ上げました。


 思えばいじめに対し怒ったのは初めてです。それまでは悲しんだり落ち込んだりでした。でも、気持ちが健康であれば、自分の尊厳を傷つけた相手に怒るのは当たり前の事だったんだと実感しました。HさんはSさんに「私の友達を取らないでってまこちゃんから言われた」と言っていたのです。小さいコトのようですが、女のいじめはこういう小さいところから始まるんです。

 それをSさん以外にも言いふらしてる可能性は充分ありました。そこで私は奇襲攻撃に出ました。翌朝、Hさんがクラスに入ってきた瞬間「嘘言いふらしてるんじゃねーよ!嘘つき!」と
いきなり怒鳴りつけたんです。近隣のクラスからも見物人が来るほど大声で怒鳴り「謝れ!」とその場で謝罪させました。このことで孤立したって怖くないと思いました。陰口を言いふらすような友達なんていらない、一人だって平気だ!そういう強い気持ちがありました。

 突然の事と、まさか直接反撃されるとは思って居なかったHさんは呆然と謝り、事実を認めてしまいました。しょんぼりと席につきました。しかし我慢出来なかったのか、朝礼が始まる前に机を叩いて立ち上がり帰ってしまいました。

 彼女と同じ中学から来た人が「あの人中学の時も嘘を言いふらして、最初はいじめてたのに最後はいじめられてたんだよ」と教えてくれました。私とは違うパターンのいじめではあるけれど、いじめを経験した人がまた誰かをいじめようとするなんて…正直、いじめられた事のない人がするよりも悪質だと思いました。

 その後Hさんは不登校になり、困った担任の先生が「謝りに行ってくれ」と言って来ましたが断固拒否しました。というか、それ以来Hさんが学校に来なくなった事も気付いてなかったんです。本当に「眼中にない」状態で、彼女がいつから再登校し始めたのかも記憶にありません。


 今、いじめにあっている人が立ち向かうのは容易な事ではないと思います。どんな方法でも良いから、まずは自分の気持ちを癒して健康な気持ちに戻って欲しい。そうすれば怒りも悲しみも喜びも、正常に判断できます。

 私のように過激な方法に出る必要はないけれど「自分は黙っていじめられてる人間じゃない」と周囲に認知させる行動も必要じゃないかな、と思います。



※いくつか質問させていただきました。ありがとうございました。

Q1.小学生のころ、きっと朝、学校に行くのは辛くてしょうがなかったと思います。どう自分を励まして、言い聞かせて、登校していたか、覚えていたら教えてください。

 正直なところ登校できたのは「家よりマシ」だったからでしょうか。家庭の中がゴタゴタしていたせいで親との会話もなくなり、淋しかったんです。だからいじめがあっても、その関係にしがみついてた気がします。

 相手たちの気分ひとつでとんでもない仕打ちがあるのに「今日は優しくしてくれるかも知れない」…後ろ向きな前向きさです。いじめに発展しているのに、自分では仲間内のケンカと捉えていた部分もありました。

その当時は不登校なんて言葉はありませんでしたから、行くのが当然だったんです。


Q2.中学のときは、制服でしたか?

はい。


Q3.中学のときの同じ趣味の人が多かった、とありましたが、どんな趣味でしょうか。

 今でいうオタクな趣味です。少女マンガや小説が好きでした。丁度小5の頃にアイドルブームが起き同じグループの子がそっちに走ってしまったんです。私はテレビを制限されていたため、話題について行けず、ずっと本が趣味でした。


Q4.中学のときは、部活には入っていましたか。

 はい。友達に誘われて(というより命令されて)中1でテニス部、2年からは読書部です。


Q5.高校のときについてお聞きします。不登校になる前、Hさんは、友だちの多い人でしたか。

 分かりません。「人気者になりたい人」ではあったと思います。中学の時の同級生の話を参考にすると、人気者ではなかったと思います。そもそも、人気者だったら悲劇のヒロインを気取って、他校からの友達を味方にする必要はないはず。

 だとしたら、自分に自信のない、不安定な立場の人だと思いました。実際に反撃の後、誰かに文句を言われる事はなかったです。


Q6.高校では、思い切った行動をされましたね。おそらく、小学生のころのまこさんでは、同じ行動は難しかったと思います。たぶん、高校のときのまこさんは、教室で怒鳴る前に、なにか「いける!」という確信があったんではないでしょうか?

 まず、相手が一人だったことが大きいです。実際にはSさんがHさん側についていたので2人になってましたし、他にもHさんの言う事を鵜呑みにしてた人も居たかも知れませんから本当の人数は分かりませんが。

 その不明な人数を潰すためにも、大立ち回りが必要だったんです。「あいつの陰口言ったら恥かくぞ」というような空気です。Sさんに問いただした時、私はSさんに「何で直接聞いててくれなかったの?」と聞いていました。

 中学からの2年の付き合いはなんだったのだろう、と悲しくもなりましたが、嘘を鵜呑みにしてあっさり態度を変えたSさんは私の中で「居てもいなくてもいい人」になったんです。だから頭数には入っていませんでした。その後、彼女を避けたりはしませんが、自然に彼女の方から寄ってこなくなりました。


 Sさんが友達ではない人になった以上、私は実質ひとりぼっちです。逆にSさんは私にHさんの陰口を伝え、真実ではないことを知ったので、Hさんも実質一人です。

 だからHさんとは1対1だという気持ちでしたが、私には私という味方が居ました。「自分を守ってあげるのは自分の役目!」という絶対的な使命感がありましたね。小学校の時は洋服から始まり、いじめっ子たちに人格を否定され続けて、自分と自分の絆を断たれていました。自己対話が出来なくなってたんです。

 自分の判断に自信がないと満足に怒ることも出来なくなってしまうんですよね。何かされたときに、間違いなく怒りは感じるのに、周囲が「されて当然」と大勢で指摘してくると、自分までもが、怒りを感じてるもう一人の自分に「当然なんだよ」と指摘してました。小学校のときは、 自分までいじめっ子の味方になっていました。


 高校の時はこの辺が違いました。「アッタマ来た!」「手伝うよ!」です。アタマにきた自分=感情、手伝う自分=行動 という感じです。自分の最大の味方は自分自身でした。孤立したって自分の側には自分が居ますから。


Q7.” 私のように過激な方法に出る必要はないけれど「自分は黙っていじめられてる人間じゃない」と周囲に認知させる行動も必要じゃないかな、と思います。”たしかに、そのとおりだと思います。いじめられている人は、自分を守るということについて、どこか投げやりなところがあると思います。
 ただ、そのアピールをするには、何か支えというか、自信のもとみたいなものが必要になってくると思います。小学生のころのように、たった一人で孤立していると、アピールすることも難しかったんではないでしょうか。

 逆に、もし、まこさんが小学生のころに、高校のときみたいに友だちが何人かいる状況だったら、小学生のまこさんも同じようにアピールすることができたのではないかと思います。
そこで、まこさんなりの、友だちを作るコツのようなものがあったら、教えてください。


 そうですね、投げやりでした。投げやりで他力本願。誰かが助けてくれるのを待ってました。そして、小学生の頃に同じ行動を取っていたら、いじめはエスカレートしたかも知れません。「いじめていいやつ」というレッテルは簡単にはがせるものではないと思います。だから同じ行動をおすすめする事は出来ません。

 実際に自分を守る時に頼りにしたのは自分自身ですが、少なくとも周囲が自分を色眼鏡で見る前だから出来たことで、そのチャンスを逃さなかった事がいい方向へ向かった理由かも知れません。

 友達の作り方ですが、中2からは本当に普通にしてました。努力したのは挨拶と笑顔。最初の1ヶ月は「まこちゃんて噂と違うよね?」という印象を心がけてました。噂なんて幽霊と一緒です。噂どおりでなければ、噂した人が嘘つきになります。趣味が同じでできた友達も居ましたし、席が近くてできた友達も居ました。ただ気持ちは全然違いました。


小6まで=いじめていいから側に居て=いじめられっ子
中1=何でもするから友達になって=パシリ
中2=話が合うから友達になりたい=趣味の仲間
高校以降=一緒に居たら楽しいから友達になりたい=お互いの世界を広げられる友達



 年齢による進歩もありますが、自分だったら誰と友達になりたい?って事なんじゃないかと。長く友情に飢えていて、目の前の友情が本物かどうかの判断もせずに食いついてしまってました。

 いきなり食いつかれたら…全身全霊でのしかかられたら、今の私なら「重い!」と感じて逃げて行くと思います。友達とは支えあうものであって、自分を守るための盾でもなければ、身を投げ出すベッドでも、悔しい思いを吐き出すためのゴミ箱でもなく、自分を理解してくれるもう一人の自分でもない。

 それを思い出せず(いじめに遭う前は出来ていたことですから)相手にのめりこんでました。「こいつはうまく使えるヤツかも」と判断する人だけが残ってしまうから、たたぞんざいな扱いを受けるはめになってました。これが中1の頃ですね。本文にも書きましたが、まずは自分を休めて、自分との絆を取り戻すことだと思います。


 私は中2でクラスに恵まれたので、ラッキーなんだと思いますが、どんな方法でも良いから、自分が自分の味方に戻れるよう手を尽くして、一人で立っていられる人間に戻れたら、と思います。

 いい人ほど、自分を不当に利用する人からは離れると思います。中1の時の私は、そういう性格の原因がいじめであっても、友達を孤立しないための手段としか思えない人間でした。だからそれに相応しい人間しか寄ってこなかったのだと思っています。


Q8.母親同士のいじめは解決されましたか?そのときのまこさんの行動も教えていただけたら幸いです。

 実は、いじめと戦おう!と同じ方法です。まず背景ですが、転勤族を断続的にいじめている地域で、親も子も転勤族は酷い目に遭うことが多い地域・学校でした。私以外にも被害に遭った人は沢山います。基本的に「何かあったらよそ者のせい」という発想です。

 最初は自分との絆を断たれそうになりました。ですが私には経験がありましたから役に立ちました。いじめに遭ってて良かったのかも!?と初めて思えました。

 気付くのが早かったので息子のいじめは始まってから3週間で解決しました。しかし、その後「本当はあの子が悪い」「親の育て方が悪い」という悪評が立ち、(ボス的立場のあるお母さんが言いふらしてました)ある一人を除いて誰も近づいてこなくなりました。

 その人が私の「自分と自分の絆」を断つ役目を帯びた人でした。孤立した私に、私は味方よ!というアピールで近づいてきました。いかに私が非常識であるか、いかに息子が悪い子であるかを捏造交えて説き、自分を変えなさいと求めてきました。

 この辺で「あれ?これは典型的ないじめのパターンだ」と気付きました。父母会に誘われて出席すると私の半径1メートル以内には誰も近づきません(笑)誘った本人がニヤニヤ見ています。大人気ないことこの上ありません。

 私がたった一人の「友人」に縋り付くのを期待してたんでしょうね。そこで一切親の集まりに顔を出さなくなったんです。買物時間も変えて人に会わないようにしました。外に居る時はとにかく「幸せそうな笑顔」を徹底しました。

 悲しい気持ちではなく、計画的に前向きに一人になったんです。私が顔を出さなくなったことで、周囲は「あの人がいじめたからだ…」とボスを冷ややかに見るようになったということを様子を探りに来た人から聞きました。もちろんこちらの情報は一切言わず、泣き言も言わず「え?何かあったっけ?」「私は一人でも全然平気」という態度を貫きました。

 それ以来何事もなく、無事転勤しました。でも、傷ついてないと言えば嘘になりますよ。


Q9.転校によって息子さんもいじめに遭ったとのことですが、そのとき、まこさんはどのように対応しましたか。アドバイスや、励まし方など、教えてください。

 息子は孤立したわけではなく(早期発見だったので…これも自分の経験のお陰です)友達もちゃんと居ましたので、さほど問題なく元に戻りました。ただ、やはり心を許せる友達以外とは遊ばなくなりましたし、更に転校した先で、警戒心が邪魔をしてなじむのに苦労する、という事はありました。

 アドバイスは特にしませんでした。心が萎縮してるのを変えろと言われても出来ないのは自分で経験済みですから、最終的には時間薬です。どうしても学校では緊張しているようなので、とにかく家でゆっくり出来るように心がけました。

 そして何より、親がどっしり構えることと、子供と一緒に一喜一憂しないこと。子供が些細なことで動揺して帰ってきた時に、一緒に動揺すると子供はもっと不安になります。また、当たり前の事にも浮かれてしまうので(今日も誰にも叩かれなかった、など)それが普通なんだよ、と息子が他の子と何ら変わらない人間だという事を言うようにしていました。

 特に「あなたがこうしたら良かったんじゃない?」これは絶対に禁句でした。

 子供が傷つけられると「何でこんな目に!」と思ってしまいますが、傷つかずに大人になる事は出来ないし、傷にするか思い出にするかは本人次第だと思うんです。傷として残る部分もありますので、それは名誉の負傷と呼んでます(笑)


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