克服体験談63

63．小5～6女子・・・学校でのいじめ（現在、18歳）

　ご本人からのメール

〔いつごろから？〕
　小5~小6の一学期

〔いじめグループは何人？〕
　8人ぐらいのグループ

〔どんな悪口を言われていたか〕
　精神病・キモイ・デブ

〔いじめのくわしい内容〕
　いじめをされたほうとしたほうを両方経験しました。いじめについて調べていて、このサイトを見つけました。自分のことを思い出し、投稿しようと思いました。

【小5】
　私のグループで、よく休み時間に鬼ごっこをしていました。私は足が遅く、すぐに捕まっていました。「すぐに捕まるからつまらない。私ばっかり狙わないで」と言いました。そのせいで、「あんたとは遊ばない。」と言われました。そこからいじめが始まりました。

　最初は無視をされました。私は近づかないようにしました。すると、今度は物を隠されました。私が聞いてみると、「証拠もないのに」と言われました。今度は悪口が書いてあった手紙が置かれていました。「友達いないの？」というような内容でした。すぐにぐしゃぐしゃにして捨てました。また手紙が置いてありましたが、読まずに捨てました。すれ違いざまに悪口を言われました。トイレに行きたいのに、道をふさいで行かせてもらえないこともありました。

　先生に言っても何も効果がありませんでした。いじめっ子たちは先生のお気に入りだったのです。２月の後半に病気で、1か月半入院しました。

【小6】
　6年生になり、クラス替えがありました。登校すると、「入院大変だったね、何か手伝おうか？」という人が2，3人ぐらいいました。いじめっ子のうち２人も同じクラスでした。クラス替えがあっても「5年生やり直したら？」とか「頭の病気？」とかいろいろ言われました。

　しかし、新しくできた友達が、「無視しよう」と連れ出してくれました。いじめが気にならなくなりました。

【今度はいじめる側になった】
　私がいじめ側に回ったのは修学旅行が転機でした。グループ行動は私は体力がないので、ゆっくりで、時々休みました。グループのAさんはイライラしていました。もうすぐ集合の時間に、Aさんは急にいなくなり、みんなで探しました。その時に友達が言いました。「私Aさんが苦手なの。不潔だし、人の悪口ばかりいうから」すると、ほかの人も「私も嫌い」と言いました。私たちはAさんがどれだけひどいかを話題にしました。

　Aさんは先生のそばにいました。Aさんは、はぐれたのが私たちのせいにしました。私たちは先生に今までのことを説明しました。先生はあいまいにしました。部屋に戻ってもAさんは何か言いましたが、無視しました。食事もAさんを除き、別のグループと合同で食べました。

　Aさんと私はあまり接点がありませんでした。でも、Aさんが私の私物を勝手に使ったので、私も嫌いになりました。周りの友達は「汚い手で触るな、人の私物を勝手に使うなんて非常識だ」といいました。エスカレートして、Aさんを殴った人もいました。私はザマア見ろと思いました。
　Aさんの悪口を言ったり、何か失敗したら、みんなで厳しく泣くまで当たりました。和解しないまま、Ａさんは不登校にならずに、卒業式になりました。

※たくさん質問させていただきました。ありがとうございました。

Q1.なぜ、いじめについて調べてみようと思ったんでしょうか。

　大学で社会学のゼミに入り、いじめについて学ぼうと思いました。いじめを両方体験した自分にとっては、密接したような感じがありました。

Q2.大津市の事件を知って、どう思いましたか。

　いじめではなく、犯罪だと思います。もっと周りがいじめを止めようとしていれば、ここまで大きな騒ぎにはならなかったと思います。大津市がいじめを容認していたといっても同じことです。加害者も悪いですが、加害者の親、教育者もちゃんとしなかった責任があると思います。

Q3.いじめのグループは、女子だけでしたか。

　女子だけでした。

Q4.「あんたとは遊ばない」と言った子は、どういう性格でしたか。

　いじめのグループの副リーダーのような人でした。冷静で怒ることがあまりありませんでした。

Q5.あなたが断ってからも、そのグループは鬼ごっこをしていましたか。

　その後は私を除き、鬼ごっこをしていました。

Q6.いじめっ子たちをひいきしていた先生は、どんな方でしたか。

　先生は女性です。４０代ぐらいでした。

Q7.先生は、どういう性格でしたか。

　今まで低学年の人ばかり相手にしていたようで、私たちにも低学年のように扱っていました。

Q8.その先生が授業しているとき、みんな真面目に聴いていましたか。

　先生が真面目ではなく、雑談ばかりしていました。生徒が「授業を進めてください」と注意したこともあります。

Q9.先生は、いじめっ子たちをどういう風にえこひいきしていましたか。

　いじめっ子たちは先生と接する時間が多かったと思います。休み時間にいつも話していました。黒板で名前を書くとき、その子達の名前には「さん」をつけるのに、私につけないことを「なぜ？」と聞いたら、「気にするな」とだけ言われました。

Q10.その先生は、クラスをまとめることができていましたか。

　お気に入りの人だけでまとめていたと思います。

Q11.先生に相談したときのことについて教えてください。

　いじめっ子たちの目の前で告げ口しました。先生は「だめだよ」とだけいいました。それ以後は注意してくれませんでした。いじめは減らず、いつもと変わりませんでした。

Q12.他の先生や親に相談しようとは思いませんでしたか。

　ほかの先生に相談しようと思いませんでしたし、親にもしませんでした。

Q13.そのころ、家ではどのように過ごしていましたか。何か趣味はありましたか。

　家では本を読んだり、塾や水泳やピアノの習い事をしました。

Q14.もし、今のあなたと、当時の苦しいときのあなたの「心」が入れ替わったとしたら、どのように行動しますか。

　「その子達とは一生ずっといるわけではない。いじめで楽しんでいるかわいそうな人だよ」と思うようにします。無視します。ひどいようなら音声を録音し、先生に聞かせます。

Q15.小5の2月から、どんな病気で入院されたんでしょうか。

　ネフローゼ症候群という腎臓の病気です。原因は不明です。今も激しい運動は控えるようにしています。

Q16.入院してる間、どのように考えていましたか。
。

　最初は「やったー」と思いました。でも、1か月を過ぎると学校がどうなっているのか気になりました。最後の2週間は午後だけ学校に行かせてもらいました。

Q17.クラス替えで、いじめのリーダーと離れられましたか。

　リーダー的な人は、隣のクラスになり、離れられました。

Q18.「入院大変だったね。なんか手伝おうか？」と言ってくれた人は、6年で同じクラスになった人でしょうか。

　助けてくれた人は6年で同じクラスになりました。優しくて、音楽が好きな子でした。

Q19.そのあとも、仲よくしてくれましたか。

　そのあとも仲良くしてくれましたし、その子の友達とも仲良くできました。

Q20.クラス替えしても同じクラスになった2人のいじめっ子について、教えてください。

　同じクラスにいたいじめっ子は取り巻きでした。「ひどいことをしてごめんね」と一人は謝りました。

Q21.「無視しよう」と、連れ出してくれた友だちは、どんな性格でしたか。

　動物が好きな子、ちょっとわがままだけど明るい子、スポーツが得意な子いろいろいました。

Q22.その友だちとは、趣味が同じだったんでしょうか。

　ピアノや水泳の習い事が共通していました。難しいところを教えあったりしました。

Q23.「無視しよう」と連れ出してくれて、どこに行きましたか。

　おしゃべりしながら少し遠回りして、教室に戻りました。

Q24.Aさんの悪口を言っているとき、「仲間だ」というような安心感がありましたか。

　私も「Ａさんは少し苦手だなあ」と思いました。私だけだと思い、我慢していました。でも、同じことを思っている人がいて、少しホッとしました。

Q25.Aさんは、どういう性格でしたか。

　Ａさんは思ったことをはっきり言う性格だったと思います。図工の時間に、友達の絵に「変なの」と言っていたことを覚えています。絵がとてもうまく、何度も表彰されていました。

Q26.Aさんは、勉強はできましたか。また、運動は得意でしたか。

　勉強ができるとは聞いていませんでした。運動も全然できていませんでした。

Q27.Aさんは不潔とありますが、どういう様子でしたか。

　何日もお風呂に入っていないようで、臭いです。髪の毛をむしったり、鼻をほじる癖がありました。嫌いな人の机に鼻くそをつけているのを見ました。

Q28.Aさんは、人の悪口ばかり言う性格だったとのことですが、いじめが始まるまでは友だちはいましたか。

　友達はいたようです。しかし、その人たちも以前から嫌っており、修学旅行が決定的になりました。夕食の時に、Ａさんが今まで言った悪口を言いました。

Q29.いじめが始まるまでは、Aさんについて、どんなイメージを持っていましたか。

　少し幼稚な人なんだな、と思いました。こういう人もいる、と気にしないようにしていました。でも、周りの人は不快だったようです。

Q30.いじめが始まるまでは、あなたはAさんと友だちでしたか。

　友達ではありませんでした。グループで一緒になったら、グループの一員として見ていました。

Q31.修学旅行のとき、先生にAさんのことを説明したとき、なんと言っていましたか。

　「同じグループだから…」とうやむやにしました。周りの人は怒っていて、「もう先生はあてにならないから、自分たちでなんとかしよう」と決めました。

Q32.その先生について教えてください。

　女性で、50代でした。

Q33.生徒から、慕われていましたか。

　男子は先生の目の前でＡさんをいじめるなど、クラス全員がなめていました。

Q34.もし、5年生のときの担任がその先生だったら、あなたが相談したとき、親身に動いてくれたと思いますか。

　何もしてくれなかったと思います。

Q35.のけ者にされた後、Aさんは悲しそうにしていましたか。

　夕食で一緒に食べたそうについてきましたが、睨み付けると、一人で食べていました。

Q36.その後、修学旅行中は、Aさんはつっかかってこないで、おとなしくしていましたか。

　何も言ってきませんでした。私たちもＡさんを見ないようにしました。

Q37.何を勝手にAさんに使われたのでしょうか。

　電子辞書です。友達とお昼ごはんに食べに行ってる隙に使ったと思います。

Q38.持ち物を勝手に使われるまでは、いじめられているAさんを見て、「ひどいなあ…」と思っていましたか。

　Ａさんは一学期から男子からもいじめられていました。男子は「Ａを蹴ってきた！」と仲間で自慢していました。私は当初、そのような男子を軽蔑していました。

Q39.電子辞書を勝手に使われて、Aさんに文句を言いましたか。

　あまりのことに、呆然と見ていました。

Q40.そのことを友だちに言いましたか。

　友達がその様子の私を見て、代わりに注意しました。Ａさんは「ちょっとだけならいいじゃない、持ち物を管理しない方が悪い」といいました。

Q41.Aさんを殴った人は、男子ですか、女子ですか。

　女子です。理由は「うるさいし、長引くし、いってもわからないから」といいました。

Q42.今、考えてみると、Aさんはそこまでされるほど、ひどいことをしていたと思いますか。

　なぜ、言い合いになるほどエスカレートしてしまったのかわかりませんでした。

Q43.もし、今のあなたと、当時のあなたの心が入れ替わったら、同じようにしていますか。自分はいじめに加わらないようにしますか。

　「勝手に使わないでね、もしあなたもそうされたら嫌でしょう？」と注意します。

Q44.Aさんは、何カ月くらいいじめられていたんでしょうか。

　4月から男子にいじめられていました。女子は、修学旅行が終わると、表面化しました。半年ぐらいです。

Q45.たとえば、Aさんはどんな失敗をしていましたか。

　行事の練習で忘れ物をしたり、体育の集合時間に遅れると、厳しく注意しました。ぶつかったら、なくまで説教していた時もありました。
　また「じゃんけんで負けたら生き物係をしようね」と決めていたのに、Ａさんが負けて必死で拒否をしていました。泣いたら「泣いてすむと思うな」と厳しくいいました。

Q46.今、どんな風に思いますか。「悪いことしたなあ」と思いますか。

　大人だったら、嫌いな人とはあいさつなど表面上の付き合いだけをするなど、もっとうまい解決法があったと思います。しかし、子供だった私たちは苦手な人にどう接するのかわからなかったと思います。
　大人は信用できない人ばかりと決めつけるのではなく、周りの人と相談すべきだったかなと思います。

Q47.もし、今、Aさんと二人きりで会ったら、何と言いますか。謝りますか。

　短い挨拶と、当たり障りのない話題だけをします。今更謝っても…と思います。5年生の時いじめた人で、謝ったのは一人だけでした。

Q48.もし、同窓会があって、Aさんと隣の席になったら、どんなことを話しますか。

　近況だけ聞くと思います。

Q49.自分がいじめられたことと、いじめたこと、両方思い出してみて、どちらのほうが辛かったでしょうか。

　いじめられたことも苦しかったですけど、いじめたほうも苦しかったです。
　先生はノータッチで、私たちが全て決断しなければならないことでしたから。あのころも「これでよかったのかな？」と思ってると思います。

Q50.もし、いじめている頃の自分が目の前にいたら、なんと言いますか。

「無視するのはいじめかもしれないけど、関わらないのがいいよ」といいます。嫌いなのにかかわる必要はありませんから。しかし、これも正しい判断かわかりませんが関わらないのが一番だと思います。

Q51.その後、中学や高校でのAさんがどうなったか、ウワサなどは聞いていましたか。

　Ａさんと会話したことがありません。高校は別でした。みんなも話題にしませんでした。友達の一人から「楽しいから、またいじめをしようよ」と言われました。私は友達の手前「そうだね」とだけ言いました。しかし、私が乗り気でないことがわかったのか、友達は何もしませんでした。
　大学生になり、6年のクラス会をしようとしたとき、Ａさんの連絡先はだれもわかりませんでした。

Q52.あなたは、中学・高校で楽しく過ごせましたか。

　小学生の時の友達と一緒に遊んだりしました。中学・高校のクラブは吹奏楽部で、音楽が好きになりました。

Q53.今、大学での専門はなんでしょうか。

　社会学を勉強しています。特に青少年の心理と社会のつながりについて勉強しています。
高校生の時からこのような分野を勉強したいと思っていました。

Q54.何か将来したいことなどは、ありますか。

　悩んでいる子供がいれば、自分の経験を生かし、助けてあげたいと思います。

Q55.「あのとき死なないで、生きててよかった！」と思える瞬間は、どんなときでしょうか。

　中学生の時、コンクールで賞をもらった時です。先生に注意されるまで、仲のいい友達と夜遅く練習していたのはいい思い出です。

Q56.いじめっ子といじめられっ子、どちらのほうが悪いと思いますか。

　いじめられっ子もいじめられる原因を作っているかもしれません。以前読んだ本で「犬のしっぽを踏んで、かまれました。どちらが悪いでしょう」という言葉がありました。
　しかし、人は犬ではありません。いじめ以外に解決する知恵があります。あれこれ理由をつけても、人を傷つけていい理由はありません。いじめるほうが悪いです。

Q57.自殺を考えているいじめられっ子がいたら、何と言って励ましますか。

　「生きていれば、なんでもできるよ」といいます。世の中はいじめをする人とされる人だけではありません。もっとたくさんの人とふれあって、いろんな考えに触れられるといいなと思います。
　もし、いろんな考えを知っていたら、私もいじめから踏みとどまっていたかもしれません。

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