克服体験談70

70．中３男子・・・学校でのいじめ（現在、25歳）

　ご本人からのメール

〔いつごろ？〕
　中２の秋～中3になるまで

〔いじめっ子は何人くらい？〕
　クラスの男子と、女子ほぼ全員

〔どんな悪口をいわれていたか〕
　悪口はあまり言われなく、ほぼ殴る蹴るの暴力

〔いじめのくわしい内容〕

【中２の秋】
　始まったきっかけは、自分でもよくわかりません。いつの間にかいじめの標的にされていたみたいです。

　内容はほとんど暴力で、ほぼ毎日殴られていました。
　特に体育の授業の後に体育館の裏に連れて行かれて、体操服を脱がされ短パンだけの上半身裸にされて腹をひたすら殴られるというリンチを受けてました。顔を殴ると暴力が発覚しやすいから、殴らなかったのだと思います。

　給食を食べた後だと、腹を殴られた時に吐くこともありました。ひどい時は男の急所を殴られることもあり、そのときは痛さで次の授業までに回復しなくてそのまま倒れていました。クラスの男子は休み時間のたびに倒れている僕のところに来て急所を殴っていきました。回復してもまた動けなくなり、それ以降の授業に出れないこともしばしば。

　あと、思いついたことを書いていきます。
・水泳の授業の後に、海パンのまま女子更衣室の中で入れられて急所を殴られる。
　痛さで悶絶しているところに女子が入ってきて、女子からも嫌われる存在に。
・サッカーゴールに縛り付けられて、ボールを当てられる。
・リンチのときに脱がされた体操服や制服をびしょびしょに濡らされて返された。

　まだまだやられていたと思いますが、10年前のことなので、全部は思い出せませんでした。僕のいじめは暴力なので、精神的にはもちろんのこと、肉体的にもきつくて特に急所を殴られるのはやはり一番きつかったです。

　担任も異変に気がついていたはずですが、何もしてくれませんでした。朝いたはずの僕が、リンチを受けた時には帰りにはいないのですから。それが半年も続いたのですから、きっと気がついても気がつかないふりをしていたのでしょう。

【中３】
　解決のきっかけとなったのは3年のときのクラス替えでした。メンバーも担任も変わり、主犯のいじめっ子とはバラバラになりました。それでも、僕へのリンチは続きました。

　でも、新しい担任の先生が帰りに僕の姿がないことに気がついてくれて、校舎裏で倒れている僕を発見してくれました。

　それから、2年のときに同じクラスだった女子が、見て見ぬふりをして助けてあげれなくてごめんなさいと、泣きながら僕に謝ってくれました。いじめのことを知らない友達も、どうして話してくれなかったんだと泣きながら言ってくれました。正直自殺することも考えましたが、このとき必死に耐えてきてよかったと思いました。

　僕は3年生のときの担任の先生と、勇気を出して僕に謝ってくれた女子のおかげで、3年生になって卒業するまでの1年間は、非常に楽しい1年間になりました。

【いじめを振り返ってみて】
　僕に非があるとするならば、きっと誰にもこのことを相談しなかったことだと思います。親にも友達にも話したら迷惑がかかるからって勝手に思って、自分が耐えればいいんだって自分で思い込んでしまったことだと思いました。自分がいじめられてるという事実を他人に知られたくないという、つまらないプライドもあったのかもしれません。

【メッセージ】
　僕の場合は3年生のときに出会った人に恵まれて、僕のほうからアクションを起こすことなく解決しましたが、今いじめで悩んでいる人に言いたいことは、誰でもいいから自分が信頼している人に話してみてということです。自分ひとりで抱え込んでいても、解決しないんだと、自分が体験したことを通じて痛感しました。

　ちなみに、僕に最初に謝ってくれた女の子ですが、現在僕とお付き合いしていて、今年か来年には結婚する予定でいます。どこでどうなるか、わかりませんよね（笑）

※たくさん質問させていただきました。本当にありがとうございました。

「こんにちは。お返事ありがとうございます。ちょっと質問がありすぎて、時間がかかってしまいました。
　僕のいじめも結構つらいと思いますが、まだまだもっとひどいことをされている人もいると思いますから、何とも言えないところです。ただ、僕の場合は急所を殴られるという、ある意味男子にとってこれ以上ない苦痛を味わう暴力を受けたので、男子には「ひどい」と思う子もいるかもしれませんね（笑）でも、ちょっと急所を殴られる話がほとんどなので掲載されるのも少し恥ずかしいですけどね・・・。でも、勇気を出して体験談を書いてみました」

Q1.どんなインネンをつけてきましたか。「お前、ムカつくんだよ」とか…。

　まさに、「お前、ムカつくんだよ」というようなことです。

Q2.暴力をしてきた連中は、校内でも幅をきかせている不良でしたか。

　素行はいいとは言えませんでした。でも、先生に歯向かうような不良でもなかったと思います。先生にわからないように、あえて一見してわからないところを殴っていたくらいですから。

Q3.相手は、何人くらいでしたか。

　常に殴っていたのは5人くらいです。

Q4.リーダー格の性格について教えてください。

　あまりよくわからないのですが、女子にはやたら優しくしていたと思います。

Q5.もしも、今、あなたがその頃のあなたと心が入れ替わったら、どのように行動しますか。

　まず、誰かに話して気持ちを楽にすると思います。

Q6.朝、（特に体育がある日）、どのように自分を励まして学校に行きましたか。

　体育がある日は、確かにリンチされる確率が高いので憂鬱でした。学校を休むという選択肢は親に心配かけるからありませんでした。
　なので、自分を励ますというより覚悟を決めて行きました。どうせ今日も殴られるのだから、少しでも前向きなことを考えるようにしました。午前中の体育の日は腹を殴られたときのために朝ごはんを食べないでいくとか、急所を殴られなければいいなとか。

Q7.もし、あなたと同じように暴力を受けているけど、誰にも相談しないでいる子が目の前にいたら、なんと言ってアドバイスしますか。

　やはり、まずは誰かに相談してみなさいとアドバイスしますね。一人で悩んでいても解決できないよと。

Q8.リンチのあと、どのように考えて教室に戻りましたか。

　リンチの後は放課後まで授業に参加することはできませんでした。
　リンチのときは、体育の授業終了後、上半身裸にされて体操着の上は取り上げられて、そのうえでひたすら腹を殴られます。そして、次の授業開始1分前くらいになると、急所を思い切り殴られるんです。当然急所ですからすぐには回復せずに、次の授業が始まり、その授業中僕はうずくまりながら回復するのを待ちました。

　そして、次の休み時間にまた主犯格が数人来て、同じように腹を殴られ続け、間際に急所を殴られ、またその場で丸まって痛さに耐えているというのを繰り返すわけです。全ての授業が終わって放課後になると、同じように腹と急所を殴り、取り上げていた体操服と制服を返しにくるわけです。

Q9.その頃、クラスに友だちはいましたか。

　同じクラスにはいましたが、いじめが始まる頃には友達ではなくなりました。違うクラスにはいました。

Q10.休み時間は、どのようにして過ごしていましたか。

　休み時間は、リンチされているときは校舎裏で倒れていました。平常のときは、昼休みは図書室で本を読んでいることが多かったです。

Q11.女子たちは、どんないじめをしてきましたか。

　女子から直接攻撃されることはほとんどなかったです。更衣室での件のときは、急所を押さえて丸くなってる僕を見て、「キモイ！変態、出てけ！」と言いながら足で蹴りながら更衣室の外に出されました。その後先生に、女子更衣室に忍び込んでいたということでひどく注意を受けました。

Q12.もしも、今のあなただったら、どのようにして暴力から逃げますか。

　グラウンドにあるものの他に予備のサッカーゴールが体育館の裏にあり、そこに縛り付けられて、結構当てられました。逃げる手段が思いつかないので、きっと学校を休むことを考えたと思います。

Q13.制服をびしょびしょにされた後、それを着て教室に戻ったんでしょうか。

　先ほども書きましたが、リンチの後教室に戻ることはできなかったので、びしょびしょのまま授業を受けることはありませんでした。ただ、帰るときは制服はなかなか乾かないので、濡れた体操服のまま帰ることになりました。幸いに学校と家が非常に近かったので、上半身裸で短パン一丁で帰ったこともありました。

Q14.「これがあったから生きのびられた」というような、楽しみや趣味はありましたか。

　趣味というほどではありませんでしたが、冬休みとか夏休みとか長期で休みのときに、貯めていたお年玉とかで、遠くに旅行しに行くのが楽しみでした。それも、朝早く出て夜遅く帰ってくるみたいな強行スケジュールで（笑）あとは、違うクラスの友達と遊んでいるときは、気を紛らわすことはできました。

Q15.見て見ぬフリをした中２の担任の先生について教えてください。

　2年生の担任は男性で、年齢はおそらく40代半ばだと思います。担当は国語です。
　あまり必要以上なことは話さない、どこかつかみどころのないタイプでした。「ことなかれ主義」に近いと思います。

Q16.担任の先生は、いじめっ子連中に対しては、どういう態度でしたか。

　仲良くはしていないと思います。むしろ、積極的に生徒に話しかけることはしないタイプだと思います。

Q17.担任の先生は、あなたになにか話しかけてくれましたか。

　他のクラスの人と同じような態度でした。特に何も話しかけることはしなかったです。

Q18.担任の先生の授業中は、生徒は真面目に聴いていましたか。

　授業中に騒ぐようなことは、ほとんどなかったと思います。

Q19.助けてくれた中３の担任の先生について教えてください。

　男の先生で30代前半だったと思います。担当は数学です。
　話しかけやすくて優しい先生です。でも、ダメなものはダメときっぱり言う先生でした。野球部の顧問で、部活になるとすごく厳しくなるようです。

Q20.校舎裏で倒れているのを見つけてくれたとき、どのように声をかけてくれましたか。

　これは今でもハッキリ覚えています。ちょうど僕が急所を殴られて痛さのあまり転げまわっているところに来てくれました。第一声が「大丈夫か！心配したぞ！」と言いながら僕に駆け寄ってくれました。状況を察知したのか、「タマをやられたのか？ひでぇな、痛かっただろ」と言いながら僕の腰をトントン叩いて、まずは介抱してくれました。

　その後、「毎日やられていたのか？」と聞かれました。痛さに耐えながら、「毎日ではないですけど、週に1回か多いときで2回くらいです」とようやく答えました。先生は僕の腰を叩きながら、「わかった、もうこれからはこんなことさせないから、もう大丈夫だ。俺にあとは任せておけ」と言ってくれました。
　そのとき、自然と涙が出てきたのを、痛さの中でもはっきりと覚えています。

Q21.その時、先生に事情を全て話したんでしょうか。

　上の続きですが、僕が回復した後に誰にどんな風にやられたのかを全て話しました。

Q22.先生は、その後、どのように対応してくれましたか。

　翌日、担任の先生と生活指導の先生数人で、主犯格のいじめっ子を生徒指導室に呼び、1日中話を（説教？）していました。どんな話をしていたのかは、僕はその場にはいなかったのでわかりませんが、聞く話によると、かなり厳しい指導をされていたということです。

Q23.その後、先生は、いじめっ子連中に対して、どのような態度をとっていましたか。いじめっ子連中から、一目おかれている先生でしたか。

　僕の一件があってから、彼らの行動を注視するようになりました。クラスのみんなも僕のことを気にかけてくれました。もしまたリンチされても以前のように放っておかれることはないと、思えるようになりました。先生は、いじめっ子だけではなくみんなから人気のある先生でした。

Q24.その先生の授業中は、生徒たちは真面目に聴いていましたか。

　真面目に聞いていました。

Q25.中３のとき、女の子は、どういう状況で「助けてあげられなくてごめん」と謝ってくれたんでしょうか。

　あとから分かった話なんですけど、その女の子は先生に僕が倒れているところを教えてくれたらしいのです。先生と一緒に僕を見つけてくれました。
　これも後から彼女から聞いたのですが、僕が急所を殴られて痛がって転げまわっているところを実際に見て、自然と涙が出てきたそうです。
　先生と一緒に僕を介抱してくれたあと、その場でごめんなさい。ごめんなさいと何度も謝ってくれました。

Q26.ご結婚おめでとうございます！その後、その女の子とお付き合いされたんでしょうか。

　その後ではなく、大学3年のときに同窓会があってそこで再会して、そこからお付き合いすることになりました。
僕は実際にはあの一件があってから、彼女のことが気になって仕方がなかったのです。でも、いじめられっ子の僕なんか好きになってもらえるわけないと、勝手に思っていて、中学のときには告白できずに終わりました。

Q27.彼女は、助けてくれたとき、どうして謝りたいと思ったんでしょうか。

　どうも、僕を発見したときに、僕が想像を絶するような痛がり方で転げまわっていたらしいのです。急所を殴られた直後だったので、僕自身記憶が定かではないのですが、彼女曰く男の子が急所を打つと、こんなにも痛がるんだと、びっくりしたみたいです。彼女にはわからない痛さだとは思いますが・・・。

　それで、毎回リンチのときに一人でこの痛さと戦っていたんだと思うと、自然と涙が出てきたんですって。自分も、僕がリンチされている場所を知っておきながら、助けに来てあげることもできなかったので、本当に申し訳なかったと。本当は助けてあげたかったけど、僕を助けると自分が今度はいじめの標的にされるのが怖かったと言っていました。

　見て見ぬふりをしているのは、いじめているのと同じという意識が常に彼女の中にあったようです。そんな風に思っていたので、いつかは僕に謝りたいと思っていたそうです。でも、そんなきっかけもできず、担任の先生が僕のいじめに気付いたときに、それがきっかけで勇気を出したのだとか。

Q28.その後のまわりの人たちについて教えてください。

　3年生になってからは、彼女だけではなくクラスの友達も気にかけてくれるようになりました。一緒に遊びに行ったこともありましたし、友達のすすめで塾にも行くようになりました。学校でも、僕を一人にしないように（いついじめっ子が来てリンチされるかわからないので）気にかけてくれていました。

Q29.「どうして話してくれなかったんだ」と泣きながら言ってくれた友だちの性格について教えてください。

　僕の友達は、非常に正義感に溢れている人です。

Q30.その友だちとは、よく遊びましたか。

　中学3年になってから遊びに行くようになりました。カラオケに行ったり、サッカーの試合を見に行ったりとか（地元にＪリーグのチームがあるので）、お互いの親が知り合いという友達もいて、友達のうちでバーべキューをしたりもしましたね。本当に書ききれないほど、一緒にいる時間が多かったと思います。

Q31.今でも、その友だちとつき合いがありますか。

　あります。僕の大切な友達です。僕に人生で初めて彼女ができたときは、とても喜んでくれました。

Q32.クラスの人たちは、その後、中３のときどのようにあなたを支えてくれましたか。

　クラスのみんなは、僕と普通に接してくれました。いい意味で何事もなかったかのように、接してくれたました。だから、僕が過去にいじめられていたという負い目を背負わずに、周りのみんなのおかげで過ごせました。これが僕にとってはとても救われたことだったと思います。

Q33.あなたは部活はされていましたか。

　中学のときは、していませんでした。

Q34.もしも、友だちがあなたのようにいじめられていたら、あなたなら、どのように行動しますか。

　今の僕なら、間違いなく止めに入ります。
　なぜなら、止めたことで今度は僕がいじめの対象にされても、今の僕はそれに耐えるだけの精神力があると思っているからです。正義感というか、正義という言葉を軽々しく口にするものではないと思いますが、大切な人がいじめられるくらいなら、僕が耐えてみせると思えるくらいに強くなりました。だから、今となってみれば、いじめられていた期間というのは、決して無駄ではなかったんだと自分に言い聞かせています。
　僕の場合は解決できたから、そう思えるのかもしれません。未だに解決できずに大人になってしまった人にとっては、思い出したくもない出来事だと思いますので、一概には言えませんけど・・・。

Q35.中３の楽しかった一年間について教えてください。

　毎日の出来事が楽しくて仕方がなかったです。
　2年の後半はリンチされていて全部の授業に出ることができない日もありました。だから、ずっと毎日友達といることができる時間が、僕の楽しい出来事なんです。例えば休み時間に友達とトランプしたりとか（本当はダメだけど）、昼休みに体育館でバスケットやったりとか、本当に他愛のないことなんです。でも、どれもこれも僕には楽しくて仕方がなかったです。
　でも、一番の楽しい出来事は、修学旅行ですね。これは、本当に先生とクラスのみんなのおかげで行くことができたと思っているので、今でも感謝してもし尽くせないほどです。

Q36.先生が注意してくれた後は、暴力はありませんでしたか。

　その後は卒業までありませんでした。

Q37.いじめっ子連中は、ほかのだれかに暴力をふるっていましたか。

　僕の知っている限りでは、なかったと思います。

Q38.いじめっ子連中の、その後について教えてください。

　中学卒業後は高校は別々になったので、その後については情報がありません。

Q39.高校生活は充実していましたか。

　高校生活は、部活と勉強の両立で非常に充実していました。
　部活はラグビー部に入りました。というのも高校から新たにスポーツを始めるのはどうしてもハンデが大きすぎるので、高校から始める人が多かったラグビーを選びました。練習は想像以上にきつかったですが、いじめられていたときのような理不尽な辛さではありません。非常に精神的に鍛えられたと思いますし、何より先輩後輩の上下関係の礼節も学ぶことができました。

　楽しい思い出は、僕はほどんど部活に費やしたので具体的にどこかに行ったとかという思い出はありません。でも、部活を引退して友達と受験の話をしている時は非常に楽しかったです。というより、同じ目標をもっている友達と一緒の時間を過ごせたこと自体が僕には楽しかったのです。お互いにわからないところを教えあったりとか・・・。

Q40.大学生活は充実していましたか。

　大学では法学部でしたので、法学全般を専攻しました。2年生になったときから公務員試験対策のため予備校に通ったりしていました。サークルには特に入ってはいなかったです。

Q41.現在のお仕事について教えてください。

　新卒で地元の隣の県の地方公務員として働いています。

Q42.もし、職場であなたがいじめにあったら、誰かに相談しますか。

　職場でいじめというのは、今まで考えたこともありませんでした。もしも万が一いじめにあったら、信頼できる誰かに相談すると思います。

Q43.もし、職場でだれかがいじめられていたら、あなたならどのように行動しますか。

　いい大人が何をやってるんだと、激しく注意します。

Q44.助けてくれた女の子との結婚のなれそめについて、もしよろしければ教えてください。

　高校はお互い別々だったので、接点はなかったのです。大学のときにクラス会があり、そこで僕から付き合ってくださいと告白しました。中学のときは僕を守ってくれた彼女を、今度は僕が彼女を守る番だと思いました。
　告白したときのことは、今でも覚えています。告白したときに、「水泳の授業のときに女子更衣室に入っていたときは、マジで最低！って思った」と言われたときには、やっぱりダメかと思いました。僕は必死に「女の子にはわからない痛さかもしれないけど、男が急所を殴られたら死ぬほど痛いんだから」と一応あのときは不可抗力だったことを必死にアピールしました。すると、突然笑い出して、「わかってるって！今の君だったら大丈夫だと思うよ。いじめに一人で耐え抜いたほどの強い人だもん」って言われて、逆転ＯＫ返事が来ました（笑）

Q45.彼女は、どのような性格の方ですか。

　心が優しく、芯が強い人ですね。少々頑固なところもありますが…。結構物事をはっきり言うところもあります。

Q46.彼女は、中学卒業後はどのような感じだったのでしょうか。

　先述しているように、高校からは別々だったので彼女がどういう風に高校・大学を過ごしていたのかは具体的にはわからないんです。

Q47.「あの時死なないでよかった！」と思えるような瞬間について教えてください。

　これからの人生をともに歩んでくれる素敵な女性とめぐり会えたことに尽きます。いじめのリンチがきっかけで出会えたのですから、リンチを耐え抜いてきてよかったと思います。

　やはり死なないでよかったと思う瞬間は、先生が校舎裏で倒れている僕を見つけてくれた瞬間です。最初の数秒は、急所を殴られてのた打ち回って痛がっている情けない姿を見られて、僕のプライドはズタズタにされ、情けないやら恥ずかしい気持ちでした。でも、すぐに「この痛さから開放されるのなら、恥ずかしくたって情けなくたって、全てを先生にさらけ出そう」と思うようになりました。なので、中学3年間で一番嬉しかったのは、先生に見つけてもらえた瞬間なんです。

Q48.あなたのご両親は、いじめのことは知っていますか。

　結局知らないまま、解決しました。それ以降も話をしていないので、今現在も知らないと思います。家ではごく普通にふるまっていたし、殴られたところも腹と急所なので目立った傷やアザが見えないのもあるのも理由のひとつだと思います。

Q49.最後に、いじめられている子どもに向けて、メッセージをお願いします。

　僕は結局逃げずに誰にも言わずに一人で戦った結果運よく解決できました。でも、これは周りの環境の変化やそこで出会った人に恵まれたからだと思います。
　なので、戦っても変化がないのであれば、「逃げる」というのも解決するための手段の一つだと思います。「逃げる」といっても、死を選択するのではなくて、いじめのある環境から立ち去るという意味です。別に「逃げた」から「負け」たのではないのですから。

　やっぱり、死を選んだ時点で負けだと思います。最終的には「生きた者勝ち」です。僕と同じでつまらないプライドが邪魔して一人で抱え込んで、それで追い詰められて自ら命を絶とうとしている子もいると思います。そういう子には、僕は、「死ぬ勇気があるのなら、誰かに打ち明ける勇気だってあるはず。自らアクションを起こす勇気だってあるはず」と言いたいです。

　最後に大人になった僕から、これだけは確実に言えることがあります。「いじめた」経験より「いじめられた」経験の方が、社会では確実に役に立ちます。「いじめた」経験なんて、社会に出ると何の価値もありません。もっと言うと、「いじめられた、けど今生きている」という経験ですね。何がきっかけでどうなるかわからないので、決してあきらめることなく、でも頑張りすぎず毎日を過ごしていってもらいたいと思います。

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