いじめと戦おう!〜対策と克服法〜
96.小2・6、中3 女子・・・学校でのいじめ(現在、16歳)

 ご本人からのメール

〔いつごろ?〕
 小学校2年、6年、中学3年

〔いじめグループは何人?〕
 小学生の時も中学生の時もクラスの男女です。どちらも全員というわけではありませんが、5.6人リーダーがいて、それを筆頭に周りもなんとなくついていったり、悪口を言われる感じでした。

〔どんな悪口を言われていたか〕
 小学生の頃は、役立たずだから遊びに入るな、死ね、キモイ、デブ、のろま、クズなどと言われていました。暴力も受けました。高学年では、すれ違うたびに偽善者は死ね、と言われていました。
 中学3年生ではブタ、死ね、消えろなどと言われ、教室でも私が発言するなど目立つことがあると笑い声やひそひそとした声があちこちから聞こえました。SNSによるいじめもありました。私の顔の画像をあげて、こいつは死ねばいい、だとか、養豚場に帰れ、学校に来るな、みんな無視しろ、汚い、男好き、という内容を書き込み、拡散するよう呼びかけられていました。

〔いじめのくわしい内容〕

 いじめは、おそらくいずれもいじめを止めたことが発端でした。

【小学校2年】
 小学生の頃、同じクラスに知的障がいを持った子がいて、男子だったけれど優しい子で仲が良かったのと、家が近いのでときどき一緒に二人で帰ったりしていました。なかなかできないといけないこともできず、苦労することがあったけれど、一緒に話していて楽しかったのです。

 しかし、彼への理解不足によるいじめは激しく、女子は仲間はずれ、男子からは暴力もしょっちゅうでした。私はそれを見つけるたびに怒りがこみ上げて、まさに猪突猛進という感じで止めに入っていました。
 もちろんその暴力や悪口は私へ向きを変えたけれど、お母さんや先生に相談していたのでさほど辛くはなかったです。


【小3のときに、男の子が助けてくれた】
 小学校3年生になって出会った男子が、私に対するいじめを発見すると止めてくれるようになりました。とても正義感が強い子でした。私の場合は耐える一方だったけれど、その男の子は強いのでそのままケンカになっても勝っていました。いつの間にか彼が来ると、いじめっこたちは逃げるようになりました。その子もまた家が近いというのがあり、彼ともときどき一緒に帰るようになったことで少しずついじめは無くなりました。

 女子からのいじめは、私が引っ越してきて友達がなかなかできなかったというのもあります。かなり内気な性格でした。だから、女の子がみんなで遊んでいて、「入れてー!」と勇気を出して言っても、リーダーの女の子数人が「あなたが入ると楽しくなくなるから。」「迷惑かかるからやめて。だめ。」と言うので、いつも一人で泣いていました。
 しかし、それもクラス替えで友達が増えたのと3年生で出会った彼と遊ぶようになったのでなくなりました。


【小学校6年】
 高学年で、また隣のクラスの女の子がいじめられ始めました。いつも同じ服を着て汚い、と「菌の付け合い」などというものが流行っていました。その子はいつも廊下に一人でいました。私も、廊下に出て隣のクラスの子と話すのが好きだったので、よく廊下にいました。話したことがなかったのでどんな子だろう?と思い声をかけたのがきっかけで、放課後も遊ぶようになりました。

 でも周りからの目は冷ややかで、いい人だと思われたいだけだ、偽善者、と言われるようになりました。彼女をいじめる隣のクラスの女子のグループが私を邪魔者扱いすることがありました。
 しかし、偽善者とみられるということは、悪いことではないのではないかと思い、それほど気にしていませんでした。それもまた、卒業するとともに自然になくなりました。


【中学3年生】
 中学生になって、何事もなく過ごした3年間。そして3年生のクラス替えでのことでした。小学生の低学年のときに仲間はずれをしてきた女の子や、高学年で偽善者、と言ってきた人たちがみんな同じクラスにいたのです。とても不安でした。しかし、もうそのことは落ち着いたので、きっと大丈夫だと思っていました。

 そんな中いじめははじまりました。やはりその子たちが周りにいろいろな噂を流し始めたのがきっかけです。「あの子は小学生のとき、地味で友達がいなくて、ずーっと男子に頼りっぱなしの悲しい男好きだったんだよ」「友達がいないから、いじめられてる子で集まって一人を避けてたんだよ」好き勝手言われるのが悔しかったです。

 中学校でも小学校の時にいた知的障がいの子がいて、その子へのいじめがありました。男子の暴力が怖くて、私はこっそり先生に相談していました。それもまた気づかれてしまい、「なぜ、助けるの?偽善者」と、周りからのいじめが激しくなりました。


【ツイッターで悪口を言われ、ノイローゼに】
 Twitterに私の悪口がたくさん書き込まれていました。仲がいいと思っていた子がそれをお気に入りにしていたり、便乗していたり。日に日に多くなる書き込みに、私は気が参って、少しおかしくなりました。
 でも、親に話すのはどうしても嫌でした。Twitterから目がはなせなくなって、どうしようもなくなりました。教室にいても私が目立つと笑い声や悪口が聞こえます。いつの間にか萎縮していました。


【友だちと支え合って乗り越えた】
 ですが、そんな中、悲しいことだけではありませんでした。わかってくれるクラスの数人の友達と支えあっていたからです。どれだけ辛くても、学校に行きたくないと思っても、その子たちと教室の隅っこで笑いあえるのが嬉しくて、耐えることができました。

 結局、親や先生に相談をして、学校をあげての問題となりSNSでのいじめは減りました。教室での息苦しさは変わらなかったけど、以前よりはマシでした。そのまま卒業しました。

 卒業しても、ときどきSNSで私の写真をあげて、きもい、などと書き込まれているものは見ます。ですが、今は高校の友達といるのが楽しくて、それは気にしていません。




いくつか質問をさせていただきました。ありがとうございました。

Q1.小学校低学年のころ、お母さんや先生に相談したとき、どんなアドバイスをしてくれましたか。

 母や先生に相談したときには、母も先生も、「無理しなくていい。つらいならば、学校に行かなくてもいい」と言ってくれたので気持ちが楽になりました。


Q2.小学校3年で助けてくれた彼の、その後を知っていたら教えてください。

 小3のときに助けてくれた彼は中学生になるとクラスが遠く離れてしまいなかなか会うことが少なくなりましたが、その後も会うと帰りに話をゆっくり聞いてくれました。
 とても穏やかで、中学に入ってからも周りからすごく人気がありました。


Q3.助けてくれた男子はケンカが強かったそうですが、空手など何か格闘技をされていたんでしょうか。

 その助けてくれた男子は、男兄弟がいるので、日々のケンカで強くなったようです。


Q4.その彼は、なぜあなたを助けてくれたんでしょうか。何か思い当たることがあったら、教えてください。

 その子が私を助けてくれたのは、聞いてみたところ、特に大切な友達だから、という理由だそうです。私も彼も、お互いに引っ越してきた身で、彼の方が少し早く引っ越してきたのですが、その後に私も近くに引っ越してきて、そこで友達になりよく家の前で遊んでいました。
 幼稚園時からの友達がいない者同士だったので、より仲が良かったのを覚えています。


Q5.引っ越しはお父さんの転勤の関係でしょうか。

 引っ越しは、以前借りていた家が古くなったことがきっかけです。


Q6.お父さんに何かいじめのことなどで相談したことはありましたか。

 父には、母が伝えて知っていましたが、私から直接はあまり相談しませんでした。
 仕事が忙しく、家にいることが少なかったので、心配をかけたくないという気持ちが大きかったです。


Q7.あなたにご兄弟はいらっしゃいますか。

 私には2歳年上の兄がいます。


Q8.もし、転校してきたばかりで遊びに入れてもらえず、泣いている小学生の頃の自分が目の前にいたら、何と言って励ましますか。

 もし今の私が、その頃の小学生の自分が目の前にいて励ましてあげるとしたら、
 「大丈夫。声をかけることが大事なんだ。遊んでもらえないのはきっとあなたのせいじゃない。うつむいてないで、うまくいかなくても言葉で伝えよう。」と伝えます。


Q9.あなたが仲良くしてあげた、ばい菌あつかいされていた子は、なぜいつも同じ服を着ていたんでしょうか。

 その子は特に家庭で何かがあったわけではないのですが、祖父母と一緒に2世帯で暮らしていて、両親が自分にまで目がまわらない。とは話していました。だから、あまり新しい服を買いに行ったりはしなかったようです。


Q10.その女の子に、「一緒に遊んでくれてありがとう」などお礼を言われたことはありますか。

 お礼はしょっちゅう言われました。
 「友達と遊んだことがほとんどなかったのでとても楽しい」と話していました。


Q11.その女の子の現在などを、もし知っていたら教えてください。元気にやっているでしょうか。

 現在は高校でできた新しい友達と楽しくやっているようで、今でもたまに連絡を取り合います。


Q12.その女の子と、放課後にどんなことをして遊んだんでしょうか。

 放課後は思いっきり校庭で走り回ったりして遊ぶか、あるいはゆっくりと座って話すことが多かったです。


Q13.「菌の付け合い」で、あなたに「菌が移った」こともあると思います。どんな対応をしましたか。

 相手にはしませんでした。なんとも思わなかったし、そんな、菌なんてものがあるとは感じず、バカバカしいな。と思っていました。


Q14.「偽善者とみられるのは悪いことではないのではないか」と考えた(思いついた)、きっかけなどがあったら、教えてください。どうして、そのように考えることができたんでしょうか。

 偽善者と呼ばれ始めて、はじめはかなり悩みました。
 しかし、実際に助けられた側の方は、喜んでくれます。
 「いつもごめんね。ありがとう」と、笑顔になってくれます。
 周りがどう思おうとも、本人が嬉しい。と思ってくれるのならば、それは意味があるんだろうな、と考えていました。


Q15.中学で知的障がいの子がいじめられていて、こっそり先生に相談していたということですが、どのように相談していたんでしょうか。もし、見つからないように相談するなら、今のあなたなら、どうしますか。

 その時は相談室という個室の部屋に行って話していました。しかし、そこは、そのようないじめに関する話や、悩みを話す場所、というふうに考えられていたので、その部屋から出たのを同じ学年の子に見られてしまい、先生に言ってるぞ、という噂が立ちました。
 今の私なら、いっそあまり個室などには行かずに人がいないときをねらって教室などで堂々と話します。


Q16.ツイッターに悪口が書き込まれていたのは、何月頃のことでしょうか。

 中3の7月頃でした。


Q17.もし、あなたと同じように、ツイッターに色々と書き込まれて落ち込んでいる子がいたら、どんなアドバイスをしますか。

「Twitterに悪口を書くのは、直接思ってることを言えない弱い人がやること。
今はつらいけど、自分は絶対に書かないで、その人よりもずっとずっと強い人になって、かっこ悪いな。と笑えるようになろう。」
と伝えたいです。


Q18.LINEではいじめはありませんでしたか。

 私はLINEをやっていませんでしたが、個人個人でのやり取りで私に対するTwitterの書き込みを保存して回し合うということはあったようです。


Q19.中学で支え合っていた数人の友だちも、そのいじめっ子から攻撃されていたんでしょうか。

 いじめ、とはまではいきませんが、いわゆるスクールカースト制度、というものが強く、その友達のみんなも目立つことは許されず、クラスで肩身の狭い思いをしていました。


Q20.どんなことを言って支え合っていたんでしょうか。

「今日のあれはひどかったよね。」
「次にああいうことをされたら、こうしよう。」と、1日のつらかったことを振り返って反省会のようなことをしていました。


Q21.その友だちはどのようなタイプの人でしょうか。性格などを教えてください。

 静かで、おしとやかな性格の子たちでした。


Q22.解決のきっかけとなった、親への相談はどのようにしたんでしょうか。ツイッターの画面を見せたとか・・・。相談するのに勇気はいりましたか。

 はい。画面を見せました。自分の口から具体的にどんなことを言われているのかはどうしても苦しくなり、言えなかったので、直接見せて伝えました。
 やはり勇気はいりました。心配されるのがとても嫌でした。しばらく我慢して、やっとのことで言い出せました。


Q23.相談したとき、お母さんは何と言っていましたか。お母さんが学校に連絡してくれたんでしょうか。

 母は、「つらかったね。Twitterは気になるかもしれないけれど、しばらく見ないでおきなさい。でないと、Twitterばかり気にしてしまうようになるから。」と言われました。
 学校には、話を聞いてほしい。という連絡のみを入れてもらいました。


Q24.学校あげての問題となり、学校はどのように対応してくれましたか。学年集会を開いたとか・・・。

 はい。この問題のためだけのものではありませんが、このことも学年集会でゆっくり時間をとって話していました。


Q25.以前よりはマシと思えるようになったのは、何月頃でしたか。

 中3の12月頃です。


Q26.今、充実していることがあったら教えてください。

 今充実しているのは、部活と勉強と学校行事です。かなり3つに力を入れる高校に進学し、特に行事においては日本でも有名なレベルの学校なので、すべて全力を尽くしてみんなで話し合いながら頑張っています。


Q27.何か部活には入っていますか。

 現在はハンドボール部に所属しています。


Q28.何か、いじめられないために気をつけていることはありますか。

 考えすぎると、自分らしさまで制限されてしまうと思うので、とにかく自分がされて嫌なことはしない。自分の言動に責任を持つ。この2つを気をつけています。


Q29.最後に、いじめられている子どもたちにメッセージをお願いします。

 いじめは卑怯です。恥ずかしいことです。
 いじめられた方は、一生心に傷が残ります。私も思い出すと、辛くて、今でも涙が出ます。いじめた方の人は、ずっと誰かの中で、ひどい人だ、と思われているのです。こんなに人として悲しいことはなかなかありませんよ。あなたはそっち側の立場ではないんです。まず、それを誇ってください。
 そして、つらくなったら、投げ出してみてください。
 恥ずかしい、なんて忘れて泣いてみてください。
 心配かける、なんて考えないで相談してください。
 義務だから、なんて言わないで家にこもってみるのもありなんじゃないかな。
 どうか、一人で抱え込まないでくださいね。


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