いじめと戦おう!〜対策と克服法〜
99.中1男子・・・学校でのいじめ(現在、30歳)

 ご本人からのメール

〔いつごろ?〕
 中学1年生の5月のゴールデンウィーク。

〔いじめのくわしい内容〕

 中学の頃、クラスの男子大半から無視されるというイジメを受けました。自分は何て不幸なんだろうと毎日生きているのがつらくなりました。

 あるとき、イジメグループで主導権争いが起きて、イジメどころでなくなりました。

 そのとき、気がついたのです。彼らは一枚岩じゃないと。それで自分なりに対策を考えて実行しました。いじめてくる人は、クラスの人ばかりなので他のクラスに友達を作ればいじめにくくならないかと思いました。そこで、他クラスの知り合いを通じて、他クラスの友人を作りました。全部で6クラスあったので、他のクラスに2,3人ずつでも10人以上になりました。

 イジメグループはイジメの実効性を確保するため、「無視しろ」と指令を出すのですが、他クラスになると、指令が出せなくなるわけです。そして、実効性が確保できないイジメは1年でなくなりました。

 しかし、その後、違う人がターゲットにされました。イジメはなくなりません。それで、彼らは一枚岩じゃない話に戻るのですが、主導権争いを再びしてもらいました。イジメグループを分裂させることでいじめられている人を間接的に助けました。最高に気持ちよかったです。




いくつか質問させていただきました。ありがとうございました!


Q1.いじめが始まったきっかけを教えてください。

 部活を2,3日休んだら、同じ部活の同級生から「サボり野郎」みたいに思われたようで、無視が始まりました。部活をすぐ辞めたのは正解だったと思います。相手を同じクラスの者だけに絞れたので。


Q2.親には相談しましたか。

 母親に相談しました。
 母は、「あなたがいじめられるのはおかしいのだから、徹底的に戦いなさい。でも、あえて敵を作らず、敵を味方に変えるか、敵でない存在に変えなさい。暴力なんか使わなくても、必ず勝てるのだからどうすれば良いか考えて行動しなさい」という感じでした。
 母親が味方してくれているのがうれしくて毎日休まず学校に行くことができました。


Q3.お父さんには相談しませんでしたか。

 父はプライドが高く、小心ですので、耳に入れると、激高するばかりでまともに対応できる人ではありませんでした。あえて知らせませんでした。


Q4.先生には相談しなかったんでしょうか。

 相談しませんでした。先生は面白い話をするのがうまかったので、生徒や親からも好かれていました。しかし、スクールカーストの上位の人たちから支持されるタイプだったので、解決にはならないと思い相談しませんでした。


Q5.いじめグループの主導権争いについて教えてください。

 誰が一番偉いかという形ですね。クラスでいじめを主導しているうちに自分たちが偉くなったと思ったのか、他者を従わせるのが楽しくなっていたのでしょうね。次は、誰にするか、誰が指導者か、というあたりのことでだんだん派閥に別れているよう感じました。


Q6.主導権争いが始まったのは、何月頃でしょうか。

 主導権争いが始まったのは夏過ぎですね。9月頭。夏休みの間、頻繁に会っていなかったのか、一致団結する雰囲気がなくなっていましたね。


Q7.もともといた「他クラスの知り合い」とは、どういう関係の知り合いだったんでしょうか。

 うちの中学校では、春先に林間学校のようなグループ宿泊があり、他のクラスと混ざって交流することがあります。そのとき、ドッジボールで結構活躍したので、他クラスの人が何人か覚えていてくれて、廊下であったとき、「また遊ぼうや」と声かけてくれるのです。



Q8.他クラスの知り合いにどうやってお願いをしたんでしょうか。メールで「友だちを紹介してくれない?」と送ったとか・・・

 当時は、携帯電話はありませんでした。しかも、疑心暗鬼になっていて、みんないじめの仲間だったらどうしようと思い、当初は他クラスの知り合いに声かけるのも難しかったです。

 まず、うちのクラスのいじめグループのメンバーに対して偉そうにしている他クラスの人と接触してみました。偉い人の近くにいたらやられにくいかと思いまして。体育の授業が同じなのでサッカーやバスケでアシストしたりして「おまえなかなかやるな」と言わせました。その人が時々、「おるか」てクラスに訪ねてくるようにしました。

 その人は、いじめの存在を知らないから、いじめグループに「おい。○○おるか」て声かけて入ってくるわけです。いじめグループはなんでこの人が来るねんて顔してました。
 次は、書道の道具や美術の道具をいらない日も学校に持ってきておいていつでも出せるようしておきました。不良系の人は、持ってくるの忘れて他のクラスに借りに来るのです。「誰か貸して」て言われたら、すかさず「これつかってや」て貸すんです。男女の不良は、みんな僕の所に借りにきました。それで、「サンクス。助かった」て、休み時間などに返しに来るんです。時々、「今日、遊ぼうや」て声かけてくれます。

 そういう姿をいじめグループに見せつけているうちにむこうもターゲットにしにくくなっていくわけです。無視するいじめは相手を孤立させて楽しむと思うのですが、全然孤立させられないと続けられないですよね。

 そして、いじめグループの中で勉強がいまいちな何人かに授業ノートやまとめノートを貸すのです。持ちつ持たれつの関係に落とすことで「あいついじめよう」という話が出てもじゃましてくれないか期待してました。効果は分かりません。

 他には、他のクラスの人が運動場で遊んでいたりすると、仲間に入れてもらって騒いで知り合いを増やしました。それで、休み時間は、いじめグループに話しかけず、他クラスに出入りしたり、他クラスの友人をクラスに呼びました。

 外部的には、無視されていないような状況だと思います。いじめグループから休み時間距離をおき、授業中にいじめグループと理科の実験などで話をしなければならないとき状況を利用して無視を崩していきました。そのときは、女子の目を気にさせて話に応じるよう仕向けました。

 キーワードは、いじめグループに依存しない知り合いを作る。下手でもいいから運動を介して知り合いを増やす。いじめる人より初対面の人を大事にするといった所ですかね。



Q9.他のクラスの子と友だちになるコツについて教えてください。

 まず、授業、委員会、運動で他クラスの人と話す機会があるときに、自己紹介して仲良くしておくのです。僕をいじめることで満足するという人たちにまだ毒されていない人とうまく付き合うのです。
 クラスでは、仲良くすると、すぐいじめグループが仲良くしている人をいじめの仲間にする動きをしてきます。だから友だちを作るのは、敵を増やすだけなので他クラスなんですね。
カラオケ行ったり、家行ったりはほぼありません。
 学校で会う。挨拶する。世間話をする。笑いながら話す。
 これをするだけで、実はそれほど仲良くない人でも、無視しようといじめる人たちにとっては負担です。
完全に包囲網をしくため、僕の話す人全てを仲間に引き入れないとならないのですが、そんなのは彼らの力では無理です。


Q10.友だちを作るときのコツについて、詳しく教えてください。

 友だち、知り合いを作るコツは、まず相手と話をしてくだらないことでもいいから何か記憶に残る話をします。次にあったとき、直近じゃなくて若干前の方がいいです。「こんな話したね」と話すと、「覚えているよ」といって一気に距離が近くなります。
 それで挨拶したり、会釈したりする状態になったら、「今度、休み時間、遊ぼう」でオッケーです。中学ではみんな部活動をしているので放課後や休みの日に遊ぶことがほぼできない状況でした。毎日部活あるので。


Q11.あなたがこの対策を思いついてから効果が出るまで、どのくらいかかりましたか?

 効果が出るまでに1ヶ月かかっていません。無視しようにも他クラスの人と自由に喋っているし、僕もいじめグループと距離を取るのでどっちが無視しているか分からん状況でした。でも、油断すると無視されそうで1年くらいびくびくしてました。


Q12.最終的には、自分のクラスにも友だちはできましたか。

 いじめグループから馬鹿にされている人たちは、最後までいじめに荷担してなかったので、その人たちと仲良くなりました。今でも友人です。


Q13.次にいじめのターゲットになってしまった人を助けるとは・・・。すごいですね。助けた人とは、もともと仲が良かったんでしょうか。

 全然仲良くないです。むしろ嫌いな人でした。でも、いじめている人はもっと嫌いだから助けました。


Q14.「再び主導権争いをするように仕向けた」方法について教えてください。

 仲間になったふりして、ナンバー2の同級生をリーダーのように奉ったのです。すると、ナンバー1が機嫌悪くなってナンバー2ともめ出しました。ナンバー3は、ナンバー2と仲良かったので、「助けてあげてくださいよ」といってナンバー2の肩を持たせました。
 もうこうなると、完全な内分裂で互いにののしり合って、グループは破局しました。いじめという目的で動いているのに、もめ出すとどうしようもないですよ。


Q15.助けた人からお礼は言ってもらいましたか。

 本人は気づいてもいないでしょうから、お礼はあり得ませんね。むしろ、いじめの仲間だと思っているでしょう。


Q16.高校以降は、いじめもなく充実していましたか。

 知らない人に、どんどん声をかけていくことでいじめをくぐったので、以降は、徹底的に知り合いを増やしていじめが近づいてこないよう生活してました。おかげで友人も多く、充実した生活を送れました。
 いじめられている間の時間がほんとにもったいないです。可能性もどんどんなくなってしまいますし。


Q17.現在はどんなお仕事をされているんでしょうか。また、なぜそのお仕事を選ばれたんでしょうか。

 法律事務所で働いています。2016年12月から大阪で弁護士をします。
 いじめと戦うためです。弁護士名でいじめをやめるよう証拠付き手紙で相手の親に手紙を送ってやりたかったからです。体面を気にする親なら子どもをしかってやめさせるでしょうし、滋賀の事件のように学校が隠そうとすればこれも徹底的に叩けますから。


Q18.生きてて良かった!と思える瞬間はどんな時でしょうか。

 死んでたらできなかったことが続々できたときです。
 生きているから、いじめてる人たちに弁護士名で「いじめの停止を申し入れる」手紙も出せますし。おいしいものも食べられます。


Q19.最後に、いじめられっ子に向けてメーセージをお願いいたします。

 いじめっ子を憎んで結構ですし、呪っていいです。
 しかし、謝ってきたいじめっ子はどうか許してあげて下さい。悔い改めて生きる機会を与えましょう。


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