いじめと戦おう!〜対策と克服法〜
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ご両親へ

 親に言えないわけ
 まず、いじめに対して存分に怒る
 記録をつけさせる
 いじめのしくみを教える
 自信をつけてもらう
 目的はこらしめることではなくて、やめてもらうこと
 できることをする



親に言えないわけ

 ○プライドが高くて、言えない

 いじめられっ子に多くみられる性格として、意外ですが、ガンコでプライドが高いという特徴があります。頑なに「自分は助けてもらうほど弱くない!」と意地を張って、SOSを出せなくなったりします。


 子どもは、アニメが大好きですよね。お子さんもたくさん観ていると思います。なんでアニメが楽しいかというと、自分と主人公を重ねて観るからです。主人公になったつもりで観ます。

 しかし、強い敵が出てきたからといって、すぐ「助けてくれ!」と言う主人公はあまりいません。助けてもらってハイ終わり、というストーリーもありません。結局は、主人公が自分でなんとかします。

 主人公は、どちらかというと助けるほうです。「助けてくれて、ありがとう!」と言うほうではありません。そして、子どもは自分も主人公みたいになりたいと、憧れます。


 つまり、知らず知らずのうちに、高すぎる目標を設定してしまっているんです。「いじめさえなくなりゃ、なんでもいいや」と思えません。「自分でなんとかしなきゃ!」と考えます。

 そんな気持ちを、「親にめいわくをかけたくないから」とか、「心配させたくないから」と説明します。こう言ってガマンすれば、カッコいいからです。



 ○変化が恐ろしい

 人間は、変化をこわがる生き物です。「いじめられるのが当たり前」の現状は、辛いですが、それはそれで安定しています。

 しかし、親に相談すると変化してしまいます。相談すれば、きっと親は先生に言ってくれるでしょう。そしてきっと、先生はいじめっ子に注意してくれるでしょう。

 でも、その後がどうなるか予測できません。いじめっ子たちが素直にやめてくれるかもしれませんが、「チクりやがった!」ともっとひどくなるかもしれません。


 また、いじめがなくなって幸せになっているところもイメージできません。いじめは、辛いですが、いじめっ子たちが自分に関心を持ってくれているとも言えます。そして今、クラスで自分に関わりを持ってくれているのが、いじめっ子たちだけだったりします。他のクラスメイトが、見て見ぬフリをしているからです。

 つまり、自分とクラスをつなぐ糸が、いじめ―いじめられるだけの関係になってしまっているんです。

 もし、いじめがなくなったら…その糸が消えてしまいます。「いじめっ子たちすらも相手にしてくれない、本当のひとりぼっちになっちゃうんじゃないか…」と、考えてしまいます。「ひとりぼっちになったって、いじめられないんだから気楽でいいや」と思えません。


 結局、どう転んでもネガティブな未来をイメージしてしまい、相談できません。そしてつい、「やっぱりいじめられる明日」のほうを選んでしまいます。何もしなければ、昨日と同じ明日が来ます。想像できるから、安心なんです。




まず、いじめに対して怒る

 意外ですが、いじめられっ子は自分を被害者だと思っていないことがあります。「ぼくの性格が悪いからだ…」と、自分に言い聞かせていたりします。

 だから、まず親が代わりに思いっきり、いじめに対して”怒り”ましょう。すると、「やっぱりぼくはひどいことをされてるんだ!こんなのおかしい!」と、自分の正しさを実感できるようになります。これは、そのまま生きる力になります。子どもよりもまず、あなたが大いに”怒る”ことです。

 以前、元ヤンキーの義家弘介先生が、いじめの電話相談をするラジオ番組がありました。相談後、親から「あれ以来、前向きになりました」と、感謝の報告をたくさんいただいたそうです。その番組では、先生はとにかく、思いっきり怒ります。「それはひどいよな!最低だな!お前は生きていいんだ!」と。

 実際に、先生がそのいじめっ子たちを注意するわけではありません。現状は何も変わっていません。でも、元気になります。「先生があんなに怒るということは、やっぱり自分は正しんだろう」と思うからです。




記録をつけさせる

 しかし、第三者の怒りによる元気づけは、放っておくと、すぐに効果がなくなってしまいます。いつもと同じ毎日が続けば、「…自分は正しいのかな?」と、また自信がなくなってきてしまいます。やっぱり、自分で心からそう思うようになる必要があります。

 そのためにも、記録をつけさせましょう。「自分は被害者だ」という理由を、自分でたくさん作りだせます。誰もいなくても、生きる力を得られます。記録のつけ方はこちらを参照してください。

 必要な物を与えてください。といっても、メモくらいです。ペンはいつも持ってますし、時計は教室にあります。帰宅したら、詳細をノートに記録させてください。もし、メモをとるのが難しければ、ペン型カメラなどの機器を使う手もあります。

 しかし、「なんか恨みがましくて、暗くて嫌だ…」と思う方も多いです。ノートに書くのに抵抗があるなら、毎日「今日はどうだった?」と聞くだけでもかまいません。自分で振り返ることで、同じ効果を得られます。これはと思うことがあれば、ノートに書いておきましょう。



いじめのしくみを教える

 お化け屋敷で、バイトをしている男性がいたとします。「ここ、人気あるから次のデートで来てみようかな」と、入ってみました。彼は、全然怖くありません。中がどうなっているか、知っているからです。どんと落ち着き払っています。

 いっぽう、彼女のほうは「キャー!ワー!」と驚きどおしです。「なにが出てくるんだろう…」と思うと、ビクビクして進めません。

 彼は、お化けの衣装がどんな物かも知っています。中に入ってる人が、「おはようございまーす」と出勤して、それを着ていることも知っています。暗くても、よく分かります。
 ところが彼女は、よく分かりません。「な、なんかこっち来る…!」と思うと、おっかなくて仕方ありません。


 まず、いじめのしくみを教えてあげてください。「あれがあーなって、こーなる」としくみを知ると、それだけで恐怖は激減します。冷静に目の前の状況を見て、対策をする余裕も出てきます。

いじめのしくみを教える





「休みたい」と言ったら、休ませる

 子どもが「休みたい」と言ったら、どうしますか?私は、休ませるほうをお勧めします。このHPには、たくさんの克服体験談が寄せられます。これらをみると、「いじめられっ子のその後」が分かります。

 無理矢理行かされた人は、社会人になっても、対人恐怖症などのトラウマに苦しんでいる方が多いです。 ※克服体験談15  克服体験談23  克服体験談50

 いっぽう、すぐに休ませてもらえたり、フリースクールに行かせてもらえた方は、トラウマもなく悠々としています。 ※克服体験談35  克服体験談38  克服体験談51


 足の骨が折れたとき、すぐにリハビリを始めるでしょうか?しませんよね。まずは、じーっとします。骨がくっついてから、リハビリをします。それと同じです。心が「まだ治ってない」と言ってるうちは、休ませましょう。


「休みたい」と言ったら、休ませる





自信をつけてもらう

 いじめられていると、自信をなくしていきます。いじめっ子は、「キモイ」「死ね」などと言ってきます。クラスメイトからは見て見ぬフリをされ、避けられます。すると、だんだん「ボクは、みんなに迷惑かけてる…?」と考えていきます。

 そして、「いなくなったほうが、みんな喜ぶ」と思うと、自殺してしまいます。また、シカトされて空気のように扱われていると、「自殺してビックリさせてやろう」と考えたりもします。

 ぜひとも、「いたほうがいいんだ」と分かってもらわなくてはなりません。おすすめなのは、家のお手伝いをしてもらうことです。料理を運んでもらう、皿をふいてもらう、ゴミ出し…なんでもかまいません。そして、やってくれたら「ありがとう!助かったよ」とお礼を言ってください。すると、だんだん「あ、いたほうがいいのかも」と自信をつけていってくれます。







目的はこらしめることじゃなくて、やめてもらうこと

 我が子がいじめられていると知ると、頭にきます。いじめっ子に思いっきりギャフンと言わせたくなります。しかし、本当の目的はこらしめることではなく、やめてもらうことです。

 こらしめられて、素直に反省してくれるならいいんですが、相手によっては「くそう、なんとかしていじめてやる…!」と恨みを買ってしまうかもしれません。お子さんは、その後も卒業まで同じ学校に通わなくてはなりません。

 元気づけのための怒りは必要ですが、必要以上の怒りは恨みを買ってしまいます。そこに注意しましょう。やめてくれさえすれば、いいんです。その上で、学校の先生に相談するなどしてみてください。

 ただし、暴力については、やめてくれるのを待つ余裕はありません。こちらから積極的に逃げる必要があります。




できることをする

 海外では、いじめられっ子の親が、いじめっ子をホームパーティに招いたり、手作りのクッキーを配ったり、校門の前で笑顔であいさつしたりして、いじめがなくなったという事例があります。

 いじめっ子は、「あんないい人(親)を悲しませてはいけない」と思うようになるそうです。まわりの子たちも、いじめを見てもとまどい笑いづらくなります。こうなると、いじめショーが成立しません。

 思い切って、いじめっ子たちに「愛情たっぷりの何か」をしてあげましょう。
 歌手の中島啓江さんは、いじめられっ子でした。すると、母親に「一人ひとりの目を見ながら、心から『ありがとう』と言いながら、みんなにこのノートと鉛筆をあげなさい」と言われました。半信半疑でやってみると、いじめっ子たちが泣きながら「ごめんね」と謝ったそうです。

 いじめられっ子も、いじめっ子さえも成長するこの解決パターンは理想的です。いじめっ子を倒そうとするのではなく、しづらくさせるのが、長期的な解決となります。


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